写真を使って保育を記録・発信するということですが、私は、「入り口は広く、奥深いもの」にしておけばいい、と思います。
そもそも、保育ドキュメンテーションという言葉自体が定着していないし、言葉や概念を普及させることは目的ではありません。
定義を議論することも構わないが、そんなことより現場の先生たちは、「今を、子どもたちと、保育する」ことに全力で取り組んでいます。
難しいことはともかく、とにかく、保育中に子どもたちと活動の様子を写真で切り取り、自分たちで見返して、子どもの様子と保育を振り返り、自分たちの(自分の)保育を明確にしていくことに一つのステップがあります。(これについてのノウハウについてはソトアソビスクール参照)
次にこの写真に言葉を添えるというステップがあります。
実は、別にオンラインでネットに掲載するとか、ICTとかが重要なのではなく、撮った写真をプリントアウトして、付箋で言葉を添えるのでも、いい。
写真に保育者自身の保育観、子ども観を反映させるということが大事なのだと思います。
見たら分かることの説明はいらない。
状況説明も実はあまり重要ではない。
この写真が意味することは何なのか、それをその人自身の言葉で伝える、表現するということが大事なのだと思います。
参考
最後に、その園の文化やパソコンの普及率、ネット環境の問題もあるので、徐々に深めていけばいい。
大切なのは、写真を使って保育を伝える、語る、ということだと思います。
ICT化でアプリを使った配信を行っている園も多いと思いますが、アプリにすれば保護者の敷居は下がりますが、機能には限界があると思っています。
今の所、フットワークの軽い企業のアプリは日々改善されているようですが、つながりにくさの問題はあまり改善されていません。
近い将来はワードプレスを使って、会員サイト機能を応用した、連絡ノート、園のブログ配信、保護者専用のログイン機能など写真の閲覧制限、コピー不可機能などセキュリティにも配慮した園サイトがスタンダードになるのではないかと思っています。
少なくとも言えることは、保育ドキュメンテーションは、保育者を苦しめるものではなく、保育者の専門性を高め、園と保護者をつなぐ最良のツールとなるということです。
保育ドキュメンテーションでやったことが自分の財産になる。園の財産になる。
実践発表も、改めて資料を作る必要もなくなる。
発表者だけがログインしてプロジェクターで映し出す、もしくはオンラインで公開する。
園の様子や活動の紹介、事例研究も保育ドキュメンテーション1つで事足りる。
もしも、その情報と保育を共有する仕組みが作れたら、保育業界はもっと高めていける。
各園だけで完結していた保育が、大きなネットワークの中で共有されることになれば、安全や子どもの遊びそのものももっと深く理解されていくことになる。
そんな時代になったら私たち現場の保育者のやりがいと誇り、そして社会的な評価と対価はもっと上がる。
そんな時代を思い描くのも楽しみです。
森のようちえんの滝山ネイチャークラブ
代表 堀岡正昭