子どもは導いてあげないといけない?
子どもは未熟だから大人が養護して見守っていかなければならない存在です。
特に乳幼児は大人の養護を必要とすることも多く、適切に介助してく必要があります。
しかし、子どもは何も出来ない存在ではありません。
小さくても人格を持った一人の人間として尊重されるべきであり、大人がすべてやってあげるのは適切ではなく、ましてや自分でやりたいという気持ちをないがしろにして本人の意欲を否定してはいけません。
子どもの自由にさせた方がいい?
では、子どもは何でも自由にさせた方がいいのでしょうか。
保育現場においても子どもの主体性を尊重しましょうと言って、子どもの遊びや活動に保育者が介入しない方がいいという考えもあります。
もちろん、子どもの遊びを壊したり、子どもの人格を否定するような介入はしない方がいいでしょう。
でもそれは、保育者は何もしなくていいということにはなりません。
教育とは適切に子どもや環境に働きかけ、教育の目的が効果的に達成されるよう努めなければなりません。
Playful Pedagogy(楽しく遊びながらの教育)
欧米でも遊びを通した幼児教育があり、近年研究が進められています。
Playful Pedagogy(楽しく遊びながらの教育)と呼ばれ、その具体的な方法として、Guided play(ガイドされた遊び)があります。
遊びの主体によって、子どもの主体性が最も高いFree play(自由遊び)と呼ばれる活動は、大人は一切かかわらず、子どもが自由に遊ぶというもの。
もう一つは、子どもの主体性が最も低い大人主導の活動Direct instruction(直接教示)であり、大人の指導に子どもが従うというものです。
この中間に位置づけられるのが、Guided play(ガイドされた遊び)です。
Guided play(ガイドされた遊び)
アメリカの発達心理学者Hirsh-Pasekは、Guided playを成り立たせる要件として次の3つを挙げています。
①保育者が教育目的に沿った環境を用意すること
②保育者が子どもの自然な好奇心や探求心を刺激するように遊びの目的を設定すること
③保育者が子どもに何を学んでほしいかを考えて遊具などを選び、与えること
ここから考えられる保育者にとって必要な役割とは、「教育目標」を設定し、適切な「教育環境」を用意することです。
すべて自由にして、子どもの選択にゆだねるFree playと大きく異なる点です。
子どもと関わる際の注意点は、子どもの好奇心や探求心を探るということです。
大人が主体となる指導性の強い保育では、子どもの好奇心や探求心は二の次です。
子どもの感情が考慮されないかかわりは有効ではありません。
まずは大人は子どもをよく観察しましょう。
そして子どもの興味関心を探りましょう。
それには、子どもの傍に寄り、子どもと一緒に遊ぶことです。
遊びを学びにつなげる
その上で、子どもが主体的に環境に働きかけることを見守り、適切な働きかけを探り、環境と体験を再構成していくのです。
滝山ネイチャークラブの森のようちえんで、対象に応じて働きかけを変えるのはこのためです。
一度設定した環境を子どもの遊びの変化や子どもの興味関心に応じて再構成していく力が保育に必要です。
今子どもにとって何が起きているのか。
子どもは何を学ぼうとしているのか。
子どもの遊びの意味を科学的に裏付ける力が問われます。
子どもは遊びを通して何を感じ、何を学ぶのか。
それはトライアンドエラーです。
働きかけて、反応を見て、言い方ややり方、方法を変えるのです。
子どもと関わるということは一見易しそうに見えて、実は奥が深いものです。
これで正解ということがありません。
なぜなら毎回、方法が変わるからです。
基本的な考え方を押さえ、トライしてみましょう。
ソトアソビスクールは体験から学ぶあなたを応援しています。
滝山ネイチャークラブ
ソトアソビスクール
代表 堀岡 正昭