安全な活動を目指して

フィールドの危険と子どもの心理、発達、行動特性を理解する

子どもの活動で難しいのは、複数の視点が必要だと言うことです。
すべての事業の基本である安全はもちろんですが、安全という視点だけだと「子どもを預からないのが最も安全」ということになります。
子どもの活動において必要な視点は、「安全」であることと「楽しい」ということです。
そもそも私たちは、子どもの活動の目的を子どもの健全な育成を通した人格の完成にあると考えます。
これについては、すべての教育関係者は「教育基本法」の「教育の目的」を再読されることをお勧めします。
「安全」と「楽しさ」、この一見矛盾する視点を同時に追求していくのが私たちの考える教育です。

見える「危険」と見えない「危険」

安全については、見える「危険」と見えない「危険」があります。
見える「危険」は文字通り外見上の危険です。
物理的に明らかな危険です。
この見える「危険」については、何が危険なのかより細分化していくことが、次の対策につながります。
水辺の活動は危険。
溺れる危険、濡れる危険、転ぶ危険、流される危険、低体温の危険。
これらを洗い出し、一つ一つ予防と対策を考えることが安全につながります。

「心」と「発達特性」、「行動特性」は見えない

次に見えない危険として、子どもの心理や発達、行動特性が挙げられます。
子どもは未発達で未成熟な部分があり、例えば体重が軽い割に頭部が重く、体のバランスが悪く転倒しやすいという特徴があります。
また、子どもは変化と刺激を好み、あえて不安定な環境を選択することがあります。
「危ないからだめ」と禁止するだけではなく、もともと子どもにはそういった行動特性があることを理解した上で対策を考えなくてはなりません。
また、心の問題は重要で、幼児期に感情に蓋をするような認知的指導がその後の心の発達に問題が出てくることが明らかになっています。
こうして考えると、危険とは、私たちの子どもの理解不足や発達や心理に対する知識不足とそこからくる誤った対応も大きな問題と言えるかもしれません。

楽しいということが安全につながる

危険を取り除くだけの守りの姿勢ではなく、積極的に働きかけていくことが実は安全につながるのです。
子どもも怪我をしようとか、痛い思いをしようと思っている子はいません。
集中して、夢中になって遊んでいる時は案外怪我をしないものです。
それは自分で考えるからです。
それとは反対に大人に言われたりやらされたりしている時は気持ちが乗っていませんし、判断力や集中力に欠け、怪我をすることが多いのが事実です。
これは何を言うかというと楽しい活動にすると言うことが事故や怪我のリスクを減らすのです。
一見、楽しいと言うことは危険だと言う人もいますが、楽しいということをより高めて、子ども自身が危険を回避する能力を高めていくということも私たちは合わせて考えなくてはなりません。

山で遊ぶ保育園の園長先生が仰っていました。
「山で遊んでいる時は怪我をしないんだよね。」
子どもも集中して五感を働かせ、脳が活発に働いているからかもしれません。
野外で自由に遊ぶことが子どもたちの安全と楽しい活動を保障し、人格の完成に効果的な教育的活動を展開していきたいものです。

森のようちえんの滝山ネイチャークラブ
大人も体験を通して学ぶソトアソビスクール
代表 堀岡 正昭

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