Ⓣ:教師、Ⓒ:生徒、※Ⓣ:補助教諭
小学校1年生の35人学級をイメージしています。
教師が前に立って、生徒に教える伝統的な講義型の教育スタイルは、大勢に効率的に知識を伝達するにはとても都合が良かったのです。
例えば防災教育や災害訓練などでは乳幼児を対象とした保育現場でも活用されていますし、野外活動における事前のセーフティートークの際も、1.一旦集めて、2.全員に同一の内容を、3.伝えるためには、指導者が前に立って、全員に一定以上の理解や習得・習熟を求めるスタイルに意義があります。
つまりは、教師や保育者、指導者からの一方的な伝達においてはとても効果があり、教師・保育者・指導者は全体指導の技術習得が必要不可欠です。
しかしながら、教育の内容は知識の伝達にとどまらず、学習者の理解度や習熟度を図る意味でも、教師と生徒の双方向のやり取りが必要です。
また、生徒は教師からのみ学ぶのではなく、他の生徒との関わり合いや教材、内なる自分との対話も含めて環境を通して学ぶことが出来ます。
学習とは、教師主導の一方的な営みではなく、学習者である生徒や子どもたちが自ら主体的に働きかけていくことで獲得していくのです。
だとしたら、私たちは教育のモデルを見直さなければなりません。
これは従来の教育スタイルを否定するものではありません。
前述のようにある一定以上の理解や習得を目指す学習においては教師が伝える講義型の学習は非常に高い効果があります。
学習の内容によって教育スタイルを変える必要があるのです。
森のようちえんでは、対象となる幼児の発達や安全を第一にした考えから少人数(10人)の教育を行っています。
経済的な採算性や職員配置などの合理性は二の次です。
あくまで子どもたち一人ひとりの人権と安全、教育の効果を第一に考えます。
また、学習者同士の関りから生まれる学習効果を期待して、多様な年齢構成で集団を編成し、異年齢児による保育を基本としています。
教科の伝承、知識の伝達が目的ではなく、子どもたちの学ぶ意欲とそこから生まれる行動習慣の確立を目指しているので、遊びを通した体験学習を基本にしています。
それらが対象(子どもの発達と一人一人の個性と行動特性の理解、遊びの状態と学習内容)によって働きかけ方と教授方法を変える個別化の指導を基本にしています。
具体的には直接、森のようちえんの保育実践を見ていただくのが一番なのですが、冒頭にお話した伝統的な教育スタイルとは大きく異なることに気が付くことでしょう。
私たちは、森のようちえんという野外における幼児教育の発信と合わせて、新しい教育スタイルを提案していきます。
子どもの人権と安全、そして高い教育効果を目指した森のようちえんが普及することで、より多くの子どもたちの笑顔と、保護者の満足、そして保育者のやりがいにつながるこを期待しています。
滝山ネイチャークラブ
森のようちえん・ソトアソビスクール
代表 堀岡 正昭