自己内対話の経験

好きなことだけやればいいという訳ではありません。嫌なことを押しつけてまでやらせようというのでもありません。好きなことがあるってまずは大事。
「先生、好きなことばっかりやってていいんでしょうか。」という質問に
「好きなことがあるって素敵じゃない?好きなこと、やりたいこともない人間に育てたいとでも?」
「じゃあ嫌ならしなくてもいいんですか?」
「そういう訳じゃありません。嫌なことでもやらなきゃいけないこと、やった方がいいこと、やってほしいことって、ある。そのことをまずはちゃんと伝える、話をするということが大事です。大人も面倒くさがったり、大変なことから目を背けて話をしないで、子どもに理解がある風を装っていることがある。『こうしてほしい』『こうしなきゃいけない』ということをちゃんと向き合って伝える。それは『対立』の始まりでもあるかもしれない。大人がこの『対立』を怖れ、『自分が傷つくこと』を怖れ、子どもと向き合わないのは逃げている証拠。子どもだって『こうしたい』『こうしたくない』というのがある。でもこちらも真摯に彼らと向き合ってきちんと話をすると彼らの頭の中であることが起こる。『悩み、考え、葛藤する』という働きだ。これが大事。彼らの頭の中でこの『悩み、考え、葛藤する』体験、これを自己内対話の体験という。『こうしたいけど、あれしなきゃいけない。どうしよう。』という心の揺れ。その上で、自ら選択し、決断し、行動する。これが彼らの心の内面における問題解決力を高める。この体験を積み重ねた子が強い子だ。大人の顔色を伺って無難な選択肢を採用するだけの子はこれがないから弱い。一見優等生に見えたり、大人にとって都合の良い、聞き分けの良い子を育ててしまったら、大人になって苦労するのはその子自身。僕たちはまずは自分の意志をしっかり持ち、社会や環境に働きかけ、対立を経験し、その中できちんと自己内対話のプロセスを経て、行動していける子どもを育てることが大事なんだ。」

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