“待つ保育”の実践2

3.環境設定
 観察・記録してきた内容を職員間で検討して、人的環境を含め、コーナー保育・設定活動に還元します。
a)人的環境
○役割
・あそびのリーダー(演技者、提案者、)
・レフリー(審判、裁判官、)
・タイムキーパー(時間を逆算して環境と活動内容を操作します。) 
○ポジショニング
 ポジショニングについては活動内容と職員配置によって臨機応変に変える必要があるでしょう。ここでは次の動きとポジショニングについて考察してみます。活動場所の中央で360度全体を見渡す場合は体の向きを変えたり首を振って観察します。実際には狭い室内というよりは戸外での公園など見晴らしの良い空間での活動に向いているかもしれません。それから部屋の奥で壁を背に全体を見渡す場合は室内に座り込んでその場のあそびや子どもの対応に当たりながら全体を観察できるように顔を上げるよう意識します。そして死角を作らないようにそれぞれのコーナーを移動する場合は、あそびの区切りを見計らい、その場を離れることを必ず伝えます。これらの動きをその場の判断で迅速に選択することが要求されます。
 さらに複数担任制の場合は他の職員との調整が必要になります。アイコンタクトや直接コミュニケーションを取ることで不慮の事故を防ぎます。
b)物理的環境
 デイセンターでは子どもたちに選択の自由を認め、あそびを継続させることでそこから生まれるあそびと仲間関係がより発展していくことを期待します。場を設定することで子どもたちに視覚的に訴え、そのことが他児から見ても何をしているのか明らかになります。つまりあそびの場を設定することであそびのシンボルとなり得るのです。
デイセンターではコーナーとしてそれぞれのあそびの境界を設定しないので、素材と道具をそろえておくということが主な内容になります。家庭においても引き出しや押し入れから道具や素材を持ってきて自分の机や家族の共有スペースで作業を行いますね。保育園のようにコーナーであそびが完結するというよりは、こういった家庭におけるあそびや活動をイメージしたほうが分かりやすいかもしれません。ですから同じテーブルで一方では絵本を読んでもう一方では製作といった姿が見られます。(ごちゃごちゃともいいますね。) その中で子どもたちが気づいたり大人の援助によってあそびとあそびがリンクしてさらに発展していくことを期待します。
主な構成要素
○製作コーナー
 子どもたちが使いやすいように素材や道具をそろえておきます。クレパスは置かない。紙(片面、もしくは両面白紙でお絵描き等できるもの、B5サイズ)、大きい紙(カレンダーの裏やコピー用紙等の包装紙を一枚ずつ丸めて立てて置く)、セロテープ、色鉛筆(色鉛筆は色別に分けないで箱の中に入れる。立てて置かない。)ホッチキス(針とセットで置いておく。)、穴あけパンチ、のり、クラフトテープ、ガムテープ、空き箱、新聞紙(広告の紙や両面印刷してある事務用紙)、糸・ひも(太さ、材質は様々なもの。あらためて購入する必要はない。ゴミで出るようなものをストックしておく)カッター(刃を折って短くする。使い方をあらかじめきちんと指導する。使う場所を指定する。)ハサミ(個人持ち、自分たちのロッカーにしまう。使いたいときに自分たちで出して使い終わったら自分たちでしまう。)マーカー(個人持ち、自分たちのロッカーにしまう。使いたいときに自分たちで出して使い終わったら自分たちでしまう。)画用紙、色画用紙、折り紙(これらのものは、使う時は、先生に言えばもらえるということを知らせておく。絵の具をやる場合は、画用紙を使わせる。)厚紙(ゴミで出るようなものをストックしておく。)牛乳パック(毎日のおやつの後、自分たちで洗ってゆすいで乾かしておく。切り開いてストックしておく作業は職員の仕事)フィルムケース、割り箸、輪ゴム。これとは別にあってもほとんど使わないもの、置かなくてもいいもの。ペットボトル、セロテープ・ガムテープの芯、エアーキャップ(梱包材)、トイレットペーパー・サランラップの芯。これらは保育園で少し、ストックしておく程度でいいでしょう。ねん土や絵の具の置いてある場所を明らかに示します。ねん土は使用頻度が少なくても必ず置きます。出来れば密閉できる容器に油粘土と粘土へらを入れておいて、粘土板は容器とは別に立てて置きます。
○本棚
 絵本や図鑑、辞書に漫画など学童期の興味にあわせて多様なジャンルをそろえます。しかしながら病院の待合室ではないので選定が必要です。数がそろっていればいいというわけではないので基本的に量より質を重視します。カバーを外し中のしおりやはがきを外すことを忘れません。子どもたちには本の背を見えるようにしまうよう注意します。
○畳のコーナー
 ドールハウス。ままごとセットは必要ないと思います。しかし、ドールハウスは必要です。ドールハウスに関しては極力声をかけないで、散らかしたままだったとしても使っていた子どもの名前と状態を写真に記録して職員が片付けます。オセロ、トランプ、ウノ、ブロック、積み木、伝承遊び玩具(けん玉、コマ、お手玉、あやとり、はねつき、メンコ、かるた、ビー玉、)ブロックは少し置いておく程度であまり神経質になる必要はないと思います。
○飼育物コーナー
ザリガニやカワニナ、オイカワにハヤなど水生生物を水槽で飼育します。近くを流れる用水路に自分たちで捕りに行きます。エサを与え定期的に掃除をします。脱皮や産卵、共食いを目の当たりにして身近な生物の生態を知ります。春にはカブトムシの幼虫(まんじゅうむし)を近くの農家の畑に捕りにいき水槽で飼育します。糞を取り除いたり腐葉土を足し適度な湿り気を怠らないように注意・観察します。
○その他
 オルガン、キーボード。テレビ、ビデオ。パソコン(マック、お絵描きソフト『キッドピクス』、ゲーム、お勉強ソフトなど。)
c)設定活動
子どもたちに経験させたい事柄。
○自然体験
 デイセンターのもっとも特徴ある活動がこの自然体験です。自然から学ぶことを大事にしたいという思いとフィールドが広ければ広いほど学童期の子どもたちにとって落ち着いてゆったりと過ごせるのではないかと思うからです。季節を感じられるように活動を工夫します。園庭の桜の下でお弁当を食べたり遺跡公園や創価大学、滝山城址公園でお花見をします。連休明けにはバケツと網を持ってザリガニ捕りに出かけます。東京でも八王子辺りではまだいるんですねぇ。めざせ、マッカチン!夏には秋川の上流、十里木で川遊びをします。高い岩からの飛び込みに魚釣り、古タイヤの浮き輪で「どんぶらこっこ、どんぶらこ」と流れていきます。秋には犬目山でロープ遊びに栗拾い、散策をします。近くの婦人補導院に工学院大学のマテバシイは最高。清水公園のオニグルミは近所のオバチャン達に負けるな。そのほかに近くの畑でジャガイモとサツマイモを植えて収穫の喜びを味わいます。
○社会体験
当番活動としておやつの用意・片付けとトイレ掃除を行います。曜日毎に学年で当番活動を行います。自分たちでテーブルを拭いておやつの準備をして号令をかけます。終わったら片付けてテーブル拭き、掃除を行います。ほかには、リサイクル活動として古紙回収作業を行います。具体的には保育園に設置した回収箱に回収された牛乳パックを整理して車に積み込み古紙回収業者に持ち込みます。
○あそび
 デイセンターでは、あそびを子どもの可能性をのばすものととらえ、あそびを通して、自主性のある子ども、社会性のある子ども、創造性の豊かな子どもを育てたいと思っています。あそびを中心とした環境が、子どもたちを心身共に成長させます。
運動遊びを通して体を鍛え、ルールのある遊びとリンクすることで社会性が身に付くことが期待できます。室内においても伝承遊びや製作遊びを通して技巧性や表現力を養います。
新学期が始まるとこいのぼり(白い布に模様を描いて針と糸を使って縫い合わせます。)を作って飾ったり新聞紙を使ってかぶとを折ります。川遊びとリンクして水彩絵の具でザリガニの観察画を描きます。子どもは切ったり貼ったりが大好き!魅力的なサンプルに刺激されぼくもわたしも挑戦します。空き箱や牛乳パック、廃材を使った製作遊びや七夕飾り、七五三の千歳飴袋を作ります。秋の活動とリンクして拾ってきたドングリやつるを使ってクリスマスリースを作って行事(クリスマス)を期待します。冬にはプラモデルやカントリードール、ベアのぬいぐるみ、マスコットを作ります。戸外遊びとリンクさせて凧やグライダー(飛行機)を作ります。節分にはオニのお面や豆を入れる升を折ります。
○プロジェクト 
 仲間と共に一つのプロジェクトを企画して実現させるという経験をねらいとします。
おみせやさんごっこ 
自分たちで畑に植えたジャガイモを収穫して保育園のお母さんたちに販売します。事前にポスターを貼って宣伝して当日は夕方のお迎えに合わせて店構えを準備します。袋詰めをして呼び込み係りにレジ係りを決めます。お金をもらう人におつりを渡す人、買ってくれたお母さんには大きな声で「ありがとうございました。」の挨拶を忘れません。完売目指してがんばるぞ!えっ、売上金ですか?夏のアイスに変わります。
おまつりごっこ
毎年8月の終わりに保育園ではおまつりごっこを計画します。デイセンターではお祭りを象徴するシンボルを提案します。去年は長崎の龍踊り、おととしは曳山、その前は御神輿。今年は越中富山を代表する民謡『むぎや節』に挑戦することにしました。幼稚園・保育園におけるおまつりごっこの要素として、一、夜店に代表されるおみせやさんごっこ、二、御神輿や山車、曳山に代表される担ぎ物、三、そして盆踊りに代表される踊りが欠かせないものと思います。そこで以前から取り組ませたいと考えていた踊りに挑戦させてみようと思いました。しかし、学童期の興味と関心を考えて、盆踊りというよりは、雄壮で哀調漂う越中富山の『むぎや節』を提案しました。
ダンボールハウス
 「先生、ダンボールなぁい?」これがそもそものきっかけです。近くの電気屋さんや自転車やさんを回ってダンボールをもらいに行きグループでダンボールのお家を作ります。窓やドア、部屋の装飾を作ったら中にこもってごっこ遊びです。部屋のレイアウトも変更して部屋中ダンボールです。お迎えのお母さんが「先生、何か引っ越しでもするんですか?」いや、決してそういうわけではないんですけど、中を覗いて微笑んでいるお母さんの姿がありました。
以上、未完のままではありますが、今後このデイセンターの保育完成に向けて生涯勉強のつもりで研究・実践を積み重ねていきたいと思います。
堀岡正昭


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