森のようちえんで子どもたちとお昼の場所の相談をしました。
山の下の広場で、遊びが盛り上がってお昼の場所をどうしようかとみんなで集まって相談。
山頂で食べたいと言うHくんと、ここ(下の広場)で食べたいというみんな。
「多数決で決めよう」という小学生のSくんの意見ももっともだが、少数派のHくんの意見も大事にしたい。
「ジャンケンで決めよう」というYくん。
どうして山頂で食べたいの?とHくんに聞くと、
「いつも森のようちえんでは山頂で食べているから」
「山頂でもっと遊びたい」と。
そこでみんなにどうしてここで食べたいのと聞くと、「疲れるから」というような声に、Hくんが
「森のようちえんに来て疲れるからとか言っていると成長しない」と!
これには驚いたけれど、「そうだね」と相槌を打ち、それでもどうしようかと一緒になって悩む。
私の中には折衷案もないわけではなかったが、みんなで相談することに意義があると思い、お弁当の時間も気になってはいたが、話し合いを続けさせることにした。
Hくん「下でいっぱい遊ぶから山頂に行く時間がなくなる。」
私「じゃあ何かに書いておこうか。」
Hくん「家に帰ってノートに書いておけばいい。」
Rさん「僕の家にはノートがない。」
Hくん「カレンダーの裏とかに書いておけばいい。」
Rさん「カレンダーとかない。」
Hくん「カレンダーに書いておけば忘れない。」
私「そうか、カレンダーに次に森のようちえんに来るところに書いておけばいいね。」
Hくん「今日はいいけど、次に来るときは山頂で食べようね。」
紆余曲折があったけど、とにかくまあ一件落着、めでたくお昼にありつけたのでした。
書いてみるとあっけないけど、この間15分以上。いや20分以上あったかもしれません。
年少さんも我が事と感じるのか、飽きて行ってしまったり、お腹が空いたとも言わず、話し合いに参加していました。
大人が問題を解決することが正解とは限らない。
正解にたどり着かないかもしれないけれど、子どもたちが相談し、自分の意見を言い、相手の意見を聞いてお互いの意見の違いを知る。そこでどうしたらいいか考える。そんな作業が大事なのではないかと思うのです。
大事なことは、自分の「やりたい」「こうしたい」が自分で分かって、みんなの前で意見を言えること。
相手の意見も聞きながら、相手にも思いがあることに気付くこと。
その思いの違いを認めながら、一緒になって、どうしたらいいか考えること。
時には問題となって、話し合いが決裂することもあるかもしれません。
それでも話し合いによる問題解決をあきらめないことです。
そのために、子どもたち一人ひとりの声を拾い上げ、仲間に伝え、一緒になって問題を解決しようとする大人の態度は、子どもたちに、話し合いの自由と意見が違ってもいいんだという安心になるのではないかと思うのです。
滝山ネイチャークラブの森のようちえんは、大人が一方的に押し付ける教育ではなく、子どもたちと一緒に作り上げていく教育です。
滝山ネイチャークラブ
代表 堀岡正昭
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