よく言われる「子育ては〇〇」や「○○保育」
こうやったらうまくいく、なんてネットで見かけるかもしれませんが、実は子育てや保育はそんなに単純ではありません。
褒めて育てましょうとか、見守る保育とか、言うけれど、そんなに簡単なら私たちこんなに苦労してません。笑
子育てに限らず、3つの要素のかけ算だから難しいのです。
森のようちえんは、自然環境と、対象となる子ども、そして働きかける大人によって構成されています。
大人の働きかけは、見守っていればいいとか、ハチやヘビの対処だけでは見えてこないのです。
自然環境はどんな状況か。晴れているのか荒天なのか。子どもの状態は?年齢発達は?その子の心理状態は?体力や能力、体調は?
そうした状況を踏まえ、さらには働きかける保育者の経験値によって求める答えが違ってくるのです。
だから、難しい。
見守ることや指導するという行為が悪いのではなく、その時の状況と対象となる子どもによって行為を変えなくてははいけないということなのです。
状況によって正解となる保育方法は異なるということです。
普段の森のようちえんでは、子どものやりたいを尊重し、自由に遊ぶことを見守ることも多いですが、災害時の避難場所での子どもの保育は、折り紙を教えるとか紙芝居を読んで聞かせるということが正解と言うこともあるかもしれません。
始めて参加した子と経験豊富な子では、活動範囲やフィールドの選定、援助の仕方も変えないといけません。
そう言われると、個人差の大きい子どもたちを目の前にした時、どうしていいか分からなくなります。
そこで、私たちが行っている働きかけ方の基本の一つをお伝えします。
子どもたちの遊びを見ていて、Bの遊びが盛り上がっている時には、指導性は低く、自由度の高い活動にしています。
私たち大人の基本的なスタンスとしては子どもと一緒に遊びながら(これがミソですが、子どもと距離を近づけておくことで、子どもの内面の変化やフィールドの危険を早く察知します。)肯定的な雰囲気を作り、安全を見守るという態度になります。
しかし、Cの時点では「疲れたから休憩しよう」とか「そろそろ帰ろうね」といった、活動をリードしたり、指導性の高い働きかけになります。
この働きかけのタイミングが遅れると、子どもたちも疲労がたまり、特に年齢が低いと思考と判断がうまく働かず、「いやだ~、もっと遊ぶー」となることも多いかと思います。
遊びが盛り上がり、満足し、ピークを迎えて落ち込んだタイミングを見計らい、「いっぱい遊んだね、休憩しようか」とするのです。
最初はそんなにうまく行きません。
私もこれを何十年とやってきました。
でも、子どもたちを見ていると、遊びが盛り上がり、ピークを迎え、「はあ、満足した」といった瞬間を逃さずつかめるようになります。
子どもたちと信頼関係にある先生たちなら、そのタイミングを逃さず、「いっぱい遊んだね。」となると、子どもたちもついてくるはずです。
それでも、今の状況を判断し、対象となる目の前の子どもの状態を観察することで、どうしたらいいか試行錯誤していくことに私たちの成長があるのです。
この繰り返しの過程の中に、実は保育者としての成長があるように思います。
私たちも日々成長し、子どもたちにとっての教育効果を最大限に高めていけるよう技術を高め、経験値を深めていきたいと思います。
森のようちえんの滝山ネイチャークラブ
代表 堀岡正昭