滝山ネイチャークラブの森のようちえんでは、お昼のお弁当を食べた後、お昼寝する子もいます。
森のようちえんは3歳から通いますし、プレ森のようちえんでは2歳児さんから参加できます。
まだまだ体力も少なく、普段より活動量が多いでしょうから、帰るまで体力が持たず寝てしまうのも仕方がないことです。
大事なことは眠たくなった子、休息が必要な子は、眠れたり、休息出来る環境があるということと、それを保障してあげるということだと思います。
時間
休みたいときに、急かされたり、阻害されないよう活動に余裕を持たせ、職員は子どもを時間で管理するのではなく、子どもの現状や健康、個別の発達理解に基づいて配慮していること。
物理的空間
身体を横にしたり、楽な体制で休息できるスペースがあること。自分のレジャーシートがあって、そこで休むことが出来る。
木陰やタープで強い日差しを遮り、風通しが良く、小鳥のさえずりや川のせせらぎなど、静かに休めること。
心的空間
子どもは勝手に休むのではなく、寝たくなったり休憩したくなった時に、安心して身体を横にしたり休めるような心理的に安心できる環境を作ってあげること。
森のようちえんでは、お弁当を食べた後に絵本の読み聞かせをすることがありますが、他の職員の膝に来て、お話を聞きながら、寝てしまうことがあります。
大事なことは、子どもが安心できる状態・環境であるということです。
発達には個人差がある
では、だからといって全員一斉にお昼寝をさせればいいかというとそれは間違いです。
発達には個人差があるからです。
体力、意欲、休息欲求は一人一人違うからです。
個人差に対応できない保育は質が低い保育です。
「みんな食べているんだから、アレルギーがあっても卵を食べなさい。」とは言わないでしょう。
でも、子どもが
「みんな食べているんだから、アレルギーがあっても卵を食べたい。」と言う子に「そうね、あなたの主体性を尊重してあなたが食べたいと言うなら食べてもいいんじゃない。」と言う保育者はいません。
それは、卵を食べることでその子の健康を害したりや生命の危険にさらすことになるかもしれないからです。
私たち保育者に必要なのは、その子の発達を理解して、どうしたら健康で安全な保育が出来るかという視点です。
大事なことは、子ども一人一人の発達を理解することです。
子どもの人権を守る
私は、子どもが寝たいという欲求を満たして健康を守ることも保育者の役割だけど、寝たくない、もっと遊びたいという子どもの権利を守ることも保育者の役割だと思います。
もしも、身体的拘束までして寝かしつけているとしたら、それは人権侵害であってはならないことです。
たまに誤解する人がいるので言っておきますが、「じゃあ寝たくないと言う子は寝かさない方がいいんですね。」という人は、子どもの発達を理解していない人だと思います。
子どもが寝たくないということはちゃんと話を聞いてあげた方がいいと思います。
でも、休憩が必要な子がいるというのも事実です。
赤ちゃんが眠たくて仕方なくて、泣いてぐずるのを見て、「眠いのね、ねんねしようね。」と言って体に触れたり、静かにあやして寝かしつけるのと同じです。
その子自身の発達を理解していれば、「寝たくないと言うから寝かさない方がいい」ということはありません。
大事なことは子どもの人権を守り、一人一人の発達に合った適切な働きかけをするということです。
園として保育環境を考える
保育現場における子どものお昼寝を考える際には、子どもの人権と発達を保育者個人が理解し、守るだけでは限界があります。
園として、保育環境と仕組みを考えないといけません。
滝山ネイチャークラブでは、一人一人の発達を理解し、個別に対応できるように10人までの少人数で保育しています。
保育時間中は子どもと関わることを重視したいと考え、お便り帳など保護者との通信記録はありません。連絡ノートはネットでIDとパスワードで保護者と個別に共有する仕組みを構築しています。
保育者の1日の労働時間は6時間で、保育時間中休憩等で抜けることなく子どもと関わる労働環境を整備しています。
会議は保育時間中には行わず、子どもの健康状態や発達状況、遊びの様子などの情報共有は社員専用サイトで行っています。
保育理念を共有し、一つの目的に向かってチームとして機能するよう理念保育の実現を目指しています。
この様に考えると、子どものお昼寝を考えた場合、子ども自身の発達を個別に理解する必要性、子どもの人権を守ること、園として保育環境を整備することが重要であることに気が付きます。
私たちは子どもたちにとってより良い保育とは何かを考え、保育集団の保育者自身の誇りとやりがいを高め、保育の質を向上させていきたいと思います。
滝山ネイチャークラブ
森のようちえん
代表 堀岡 正昭