保育は非常に難度の高い仕事です。
実際の子どもを見て、子どもたちの興味関心に応じて働きかけを変えて、環境を設定し、プログラムを再構成しなければいけないからです。
計画通りにはいかないのです。
子どもの興味関心は目まぐるしく変化します。
子どもたちの好奇心と行動についていく体力と安全に行う技術が必要です。
臨機応変
保育は臨機応変ということが求められます。
子どもの変化、興味関心に応じて働きかけを変える力です。
これとは対照的に、保育は計画立案、作成、そして実行が大切だという保育観が大勢を占める時代もありました。
子どもの発達に合った保育計画を立て、実行し、計画通りに出来たか反省し、出来なかったらなぜ出来なかったかを振り返り、次回の保育計画に生かして立案するという考えです。
計画立案、作成、評価、実行。
PLAN DO SEE や PLAN DO CHECK ACTION といったいわゆる PDCA を保育に応用する考えもありましたが、どうも保育にはうまくいかないと思っています。
それは、計画を立ててもこちらの予想通りにはいかないことも多く、また、そうならなかった時の方がはるかに教育的な成果が高いと感じることも多かったからです。
これは子どもの特性にも寄る所だと思います。
子どもは(人はと言い換えてもいいかもしれません。)他人の思い通りにはなりません。
保育の実際は、考えてから実行までが短く、瞬時の判断力、活動の提案力、プログラムの構成力、実行力、それらが子どもとの信頼関係に基づいた体験である必要があるから実に難度の高い仕事です。
保育は計画通りに業務をこなすことが大事なのではなく、子ども自身が学習する中身が重要であるという点と、実際の現場では計画から実行、評価までが瞬時に行わなければならない点において PDCA で保育を考えるというのではなく、臨機応変、子どもの実際に合わせて保育を変えていくことが大事なのです。
理念保育の実践
では、保育はその場その場の判断でいいのでしょうか。
その判断の基準となる保育の方向性、理念が必要です。
その理念を具体的な活動に落とし込んだ計画が必要です。
大きな計画、ねらいは最初の物理的な環境設定、つまりは環境の選択です。
滝山ネイチャークラブの森のようちえんは、子どもの教育環境を自然の中に求めます。
子どもにとって変化に富んだ刺激ある環境はとても魅力的です。
高い教育効果をねらい、自らの内発的な動機付けに基づく学習内容を組み立てます。
理念なき保育は迷います。
確実な保育の方向性を示し、そのための判断基準を明確にしておくことがぶれない保育を作ります。
具体的な体験を構成する
そこでどんな体験を期待するか、それにはまずは保育者の想像力、技術と経験が重要になってきます。
それには多くの子どもの特性を知り、活動の量を経験する必要があります。
次に、子どもの興味関心にどれだけ敏感であるか。
子どもの内面に迫り、子どもが感じていることを想像し、今何が起こっているのか、どんな学びが期待できるのか瞬時に具体的な活動に構成する力が必要です。
そこから導き出された体験を通して、子ども自身が自ら働きかけて、子ども自身が学ぶ体験に出来るかどうかが保育の醍醐味です。
子どもの反応を見て、次の働きかけ、環境設定、体験の構成にフィードバックしていく力が求められます。
保育という営みは生産性や効率とは異なる視点が必要です。
目に見えない内面の変化や数値化出来ない成長と言った概念が必要です。
それだけに高い専門性と技術、経験が求められるのです。
私たちは、保育という仕事の社会的な価値を発信し、社会的な評価を高め、誇りある保育という仕事のすばらしさを訴えていきます。
滝山ネイチャークラブ
ソトアソビスクール
森のようちえん
代表 堀岡 正昭