場と状況を踏まえて

仕事でいろいろな園に出向いてバスを運転することもあります。
遠足やバス散歩の運転手として迎えに行き、現地まで送迎し、活動中はいっしょに過ごすこともあります。
その際、バスに添乗する先生方の様子を見ていて気付いたことがあります。
それは、場と状況に応じた働きかけがとても重要だということです。
場=バスの中、状況=これから遠足に出かけるという状況において、我々大人の果たすべき役割は何でしょう。
子どもの主体性をうたう園であっても、何も働きかけないというのはもはや論外ですが(これが結構、あります。子どもが騒いでいてもほったらかし。子どもが立っていても注意しない。バスの中で騒いだり立ったりするのは主体性とは言いません。そこは叱るところです。)では、私たちはどのように働きかければいいのでしょう。
健康管理や安全管理上、子どもをよく観察するというのは前提ですが、車酔いの予防と車中が単なる移動の手段ではなく、楽しい保育環境にするために子どもたちと声を出しましょう。
だから、「ご挨拶」をしたり、「歌」を歌ったりするのです。いつも歌っている歌や子どもたちが好きな手遊びは「同一動作同一呼吸」で車中の楽しい雰囲気を形成します。「かけ声」をかけたり、保育者の後に続いて歌う「エコーソング(追いかけ歌)」などもそうした理由からです。
これから向かう遠足や公園の話題などは、子どもたちにこれからの活動を見通しをもって期待してほしいという願いと、危険予知につながるセーフティートークになります。
こうした場と状況を踏まえて、危険なこと、禁止事項はあらかじめ伝え、公共のマナーやルールも躾けていくことは当然必要なことです。
我々は、野生児を育てようとしているのではありません。社会に生きる文化人としてこれからの次代を担うリーダーを育てているのです。
放ったらかしではいけません。積極的にどんどん子どもに、環境に、働きかけましょう。その際に市販の教材やキャラクターに頼ることなく、自分自身の保育に自信を持ち、あなた自身の魅力で子どもたちと楽しい時間を過ごすことが、安全で楽しい保育につながるのです。
バスを降りる際には忘れ物がないか確認することと、降りたところは大抵駐車場です。子どもの安全な誘導を忘れずに。

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