1.個別対応
教育というのは本来個別対応です。
10人いたら10通りのプログラムは無理でも、活動に入ってこない、違うことに興味関心がある子、その子だけにフォーカスしたプログラムは可能だと思います。
難しい特別なプログラムを用意する必要はありません。
その子が片付けて集団に入ってくるまで待ってあげる。ただそれだけでいいのです。
一番に行かないと気が済まないAくん。
先生が制止すると暴れてパニックになってしまいました。
「先生、私がこの子のこと見ますから、この子と一緒に先に行っていますね。」
そのことが理解し、共有されていたので、その子のパニックは納まり、他の子も楽しく遠足に行けたという事例があります。
その子の特性を理解すれば、個別に配慮すればそれでいいだけなのです。
「そんなことを許すと我儘な子になります。」
「なりません。」
(僕のことを分かってくれた。理解してくれている。)
そんなことを言葉では言えなくても、肯定的な雰囲気は伝わります。
肯定的で、能動的な体験を保証された子は、自己肯定感の高い子に育ちます。
我儘どころか、素晴らしい子に育つのです。
そのことの見通しが持てないと、「我儘に育つ」と思ってしまうかもしれませんが、そんなことはありませんので、心配しなくても大丈夫。
100通りの活動パターンは用意できなくても、「みんなと違う行動をする」1割の子どもにだけでも個別配慮するだけで十分な個別対応です。
2.子どもの興味関心に応じて
大人は計画が大好きです。
その通りに実行できると満足度が高く、いい評価をもらえたりします。
でも、子どもはこちらの思い通りには行きません。
綿密な計画を立てたところで全然興味を示してくれないことがあることは多くの保育者が知っています。
そこで力づくで子どもたちを計画に従わせるか。
園の事情や行事の締め切りなど大人の都合があることもわかります。
それでも私たちは子どもの興味関心に応じて柔軟に活動を再構築できる質の高い教育を目指していきたいと思います。
そして質の高い保育が出来る保育者は、こちらの計画と子どもたちの興味関心のミスマッチが少ないことも特徴です。
常に子どもたちの興味関心に敏感であれば、こちらの想定した展開が期待でき、その中でも想定外の出来事を柔軟に受け止め、そして楽しんでトライできる余裕が持てるというものです。
3.そのための少人数、小規模保育で安全でゆとりあるスタッフ配置
そうは言っても既存の保育環境、行政の枠組みの中ではなかなかうまく行かないことも知っています。
社会変革、行政の仕組み改善も必要かもしれません。
ですが、私たちはまずは自分たちから変えようと小さな教育を目指しました。
徹底した少人数、小規模保育は、質の高い教育を目指した結果なのです。
森のようちえんが安全で質が高いと言えるのは、子ども理解とプログラムデザイン、保育の構造としての少人数、小規模でゆとりある配置から言えることです。
私たち現場の保育者のゆとりとやりがいは必ず質の高い保育につなげます。
どうか全国に質の高い保育が広がることを期待します。