思ったようにやらせてやろう
子どもには思ったようにやらせてやりたいと思う。
いいじゃない、自分の人生、自分の思ったようにやらせてやろうよ。
自分の体くらい、自由に使わせてやろうよ。
子どもの自由を制限したり、禁止したりする権利なんか親でもあるのかと思ってしまう。
子どもは、というより人は本来もっと自由でいい。
思ったように生きていい。
怪我したらどうする!
子どもを預かっていていろんな人から「ケガさせたらどうするんだ!」と言われ続けてきた。
その度に心の中で「ケガなんかしないよ」と呟いてきた。
子どももね、馬鹿じゃないから自分から怪我しようと思う子なんていないの。
怪我しないようにちゃんと考えて遊ぶよ。
要は信頼してないのね、子どものことを。
そうは言っても現に怪我するんですね。
保育園で多くの子どもの怪我を見てきました。
おそらく私、現場の保育士で日本で一番病院受診に付き添った回数の多い保育士だと思います。
園児の病院受診に現場の保育士さんてあんまり同行しないの。
行ったとしても毎回担任の先生たちだからそんなに回数多くないはずなんです。(あんまり多くても困るけど)
事務所でフリーで働いていたこともあり、看護師の先生と一緒にいろんな病院に受診しました。
だから大概の怪我はあわてないね。
子どもは怪我しようと思っていないと言ったけど、やっぱり子どもは怪我をする。
子どもの危険予知能力と危険回避能力、保育者の状況判断能力
子どもの危険予知能力と危険回避能力はやっぱり個人差があるからそれを理解しないといけない。
子どもも怪我をしようとは思っていないけど、予測が甘いとか、能力が追い付いていないということは多々ある。
そんな子どもの行動特性を理解して、保育者が状況を判断し、適切に適切に働きかけていくことが私たちの専門性だと思っている。
何でもかんでも禁止するのは素人で、子どもを観察しない保育者は二流で、一流の保育者は観察力と判断力、実行力がある。
子どもを放っておいていいわけがないし、そんな園は危険極まりない。
だからと言って「危ない!危ない!」と言い過ぎて子どもの体験学習の機会を奪い、子どもの能力を伸ばそうとしない保育はもはや保育とは言わず、監視と言う。
子どもは体験を通して学ぶ
森のようちえんの子はほとんど大きな怪我をしない。
それは大きな怪我をしないように危険を見極め、安全を管理しているからだ。
それともう一つは、子どもたちに自由に体を動かす体験をさせて、危険予知能力と危険回避能力を高め、子ども自ら学習する活動にしているからだ。
子どもも体験すればするほど、危険を察知する能力が高まる。
自分の予測と実際の危険との差異が少なくなる。
自由に多様な運動パターンを経験しているから何かあっても身のこなしが上手になる。
子どもに怪我をさせたくなかったら、自由に体を動かす体験をたくさん経験させた方がいい。
それには勇気と技術、経験がいる
言うのは簡単。
でもなかなか出来ないのもよく分かる。
子どもに怪我をさせないようにしようと思ったら、保育者自身にも勇気が必要だ。
危険を見極める洞察力、一人一人の子どもの特性を理解する観察力も必要だ。
山や川に連れていくだけでは全く持って不十分なほど、森のようちえん活動には崇高な使命感が必要なのだ。
技術を高めれば楽になる
難度の高い仕事も技術を高めることで楽にこなせるようになる。
経験を積めば見通しが持て、楽しめるようになる。
使命感、崇高な理念があれば、何があっても乗り越えられる。
保育者主導で計画と目標に子どもを押し込む保育ではなく、子どもの興味関心に寄り添い、対象に応じて働きかけを変えるGuided playを実践していくことで、保育技術を高めていこう。
技術を高めることで子どもにはもっと自由にさせてやれる。
技術を高めることで保育者はもっと楽になる。
技術を高めた先に子どもの育ちと保護者の喜び、保育者のやりがいがある。
行こう、縛られない自由な保育へ
滝山ネイチャークラブ
堀岡 正昭