運動能力から見た幼児の環境設定
滝山ネイチャークラブの森のようちえんでは自然環境を教育環境として設定していますが、それはなぜでしょう。
答えは、自然の方が高い教育効果が期待できるからです。
様々な知見から検証することは出来ると思いますが、ここでは運動能力という側面から説明します。
東京学芸大学の杉原教授らの研究によると、幼児の運動能力向上には、様々な動作を経験させることが必要だとあります。
特定の運動、特定の動きだけではなく、総合的に様々な関節や筋肉の動きが期待できる環境が必要だということです。
また、自ら行う運動が必要だということです。
子どもが自らやってみたくなる魅力ある環境が必要です。
これを私たちは自然の中に求めます。
幼稚園・保育園では、子どもの運動能力の低下を補おうと様々な工夫をして、園庭に遊具を作ったり、室内に運動用具を設置したりして子どもが運動できる環境を作っています。
これでもないよりはましですが、様々な動作が期待できるという点では自然界に勝るものはありません。
また、子どもがやりたくなるような内発的動機付けとなる魅力的な環境も自然に勝るものはありません。
その設置した運動遊具や運動用具がいつでも使えるようになっていることが必要です。
時間で制限したり、やってみたいと思った時には片づけられていたり、繰り返し経験できる環境として保障されているでしょうか。
私たちは子どもたちの様々な動作が期待できる魅力ある環境で、子ども自身がやりたいと思ったら何度でも自ら主体的に取り組める環境を用意したいと考えています。
学習効果から見た体験構成
技術の習得には反復練習が効果的ですが、幼児の場合、運動指導を行って繰り返し練習させるのではなく、自ら主体的に自由に運動させた方が効果が高いことが前述の杉原教授らの研究から明らかになっています。
先生たちが一生懸命運動指導するよりも、好きな遊びを自由にさせた方が運動能力は高いということです。
滝山ネイチャークラブの森のようちえんが遊びを通して自ら学習していく体験型学習を基本にしているのはそのためです。
何を持って効果的な体験だとするか。
お勉強的な活動を取り入れて、親受けする体験を持って効果的とするのか。
メディアに取り上げられるようなインスタ映えする体験を持って効果的とするのか。
滝山ネイチャークラブでは、子どもたちの学習成果を持って効果的な体験を構成します。
子どもたちの学習とは、知識の量を増やしたり、技術の習得を目指すものではなく、遊びを通した楽しい体験であり、自ら創意工夫出来る喜びであり、お友だちや先生といった人に対する信頼感を獲得することです。
そのためには遊びを通し自ら環境に働きかける体験でなくてはならないと考えます。
子どもの心理状態から見た働きかけの技術
滝山ネイチャークラブの森のようちえんが、自然環境と遊びを通した体験を柱に教育を構成していますが、もう一つ重要な構成要素が保育者の対象に応じた働きかけの技術です。
子どもの発達や個性に対応するのはもちろんですが、子どもの心理状態、遊びの盛り上がり曲線に応じて働きかけを変える技術が必要なのです。
子どもの心理状態、A、B、C、それぞれの状態において適切に働きかけていく技術が必要です。
一人一人の子どもの心理状態と合わせて、遊びの状態に応じて活動を展開していく技術が必要です。
保育とは、保育者の保育計画に子どもを当てはめていくことではなく、子どもたちが主体となって遊びを通して学ぶ体験でなくてはなりません。
保育者は子どもと遊びの状態を見極め、安全に活動を組み立て、環境と体験を随時再構成していく柔軟な運用が求められます。
滝山ネイチャークラブの環境設定と体験構成が実際の子どもの様子と遊びの状態に応じて働きかけを変える保育は、子どもの主体的な学びとなります。
子どもたちの楽しいを実現します。
怒ったり、急かしたりすることなく、子どもと保育を楽しむ保育者のやりがいを目指します。
滝山ネイチャークラブの森のようちえんにおける環境設定と体験構成、保育技術を広め、子どもの笑顔と保育者のやりがい、保護者の喜びに貢献したいと思います。
滝山ネイチャークラブ
代表 堀岡 正昭