森のようちえんで起業という働き方

 

やってみたい!やってみる!それから考える

みなさんは今、やりたいことをやっていますか。

滝山ネイチャークラブの森のようちえんでは子どもの「やってみたい!」という意欲を大事にしています。

子どもたちにも「やってみたい!」と言う気持ちと「実際にやってみる」こと、そして「考えること」が大事だと話します。

幼児において、「学習計画を立てよう!」とか「まずは目標設定だ!」とはあまり言いませんね。

Plan Do Checkというのは合わないんですね。

「おもしろそう」「やってみたい!」という感情が先なんです。

保護者の皆様には「1.内発的な動機付けに基づく意欲、2.実際にやってみるという行動の習慣化、その後でいいんです。考えるのはその後で」と話しています。

子どもは「ねばならない」といった認知、理屈ではなく、まずは感情なのです。

「おもしろそう」(感情)
「やってみたい」(意欲)
「やってみる」(実行)
「どうだったかな?」(思考)
「またやってみる」(実行)

自分の感情からスタートし、意欲を持って取り組み(内発的動機づけ)、自分で考え、工夫し、またやってみる。

このサイクルをどんどん回す。どんどん試す。どんどん挑戦することが大事なのです。

なぜ意欲を大事にするかと言えば、自分自身の内発的な動機付けとなるからです。

外から言われたりやらされた動機づけではなく、自らの感情や意欲に基づく、せずにはいられない内発的な動機付けから行動した変化はより本質的、永続的な変化、成長となります。

私たちはそういった本質的な変化・成長を求めるから、子どもの意欲を大事にするのです。

ところが、大人は考えるところから始めます。
「どうしたらいいかな?」
「怒られないかな?」
「失敗したらどうしよう」
怒られないように考えて、失敗しないように計画を立てます。
自分がやりたいという感情は二の次です。

最初は「やりたい!」と思っても、失敗しないかなとか、大変だからとか、やめてしまう。

やりたいことを実現するための思考を工夫と呼ぶならば、
怒られないようにするための思考
どうしたら褒められるかな
何を求められているかなというのは、自分の気持ちに蓋をする行為です。

リスク回避がいけないのではなく、自分のやりたい思いに蓋をして自分の気持ちを誤魔化していないかということなのです。

自分のやりたいことを誤魔化さない。
周りの期待に応えるあまり、自分が本当にやりたいことを見失ったり、自分を誤魔化して本当にやりたいことをすり替えてはいないだろうか。
「こんなことを言ったら嫌われるんじゃないだろうか」「こんなことをしたら怒られるんじゃないだろうか」「こんな風なことを求められているんじゃないだろうか」と、自分のやりたいことに蓋をしていないだろうか。

自分自身の感情を縛り付けて、やりたいことに蓋をさせるような働きはないか。

あなたのやりたいことは何ですか?

考える上で必要なことはここです。

自分のやりたいことは何だろうと自分自身に問うことです。

こうしたい、こうなりたい、やりたいと思うことは自由です。

大事なことは思いです。

やりたいという自分の想いです。

みなさんは今、やりたいことを出来ていますか?

やりたいことは何でしょう。

自分がやりたかったことは何だろうと考えました。

民間幼稚園、民間保育園に勤め、男性保育者としてどこでも少数派でした。

「楽しければいいというもんじゃないのよ」と言われ続けて、それでも自分の感性に従い、自分のやりたい保育を実践してきました。

やりたい保育が出来ないから森のようちえんを始めるという人もいますが、やりたい保育は実はどこででも出来ます。保育というのは実に主体的な営みで、自分がやろうと思ったら実現可能な仕事なのです。
元男性保育士の原坂一郎先生は、「半径1mは自分のやりたい保育が出来るのがこの仕事」と仰います。

例えどんな厳しい指導方針の園であっても、自分は子どもを泣かせてまで厳しい指導はしたくないなと思ったら、半径1mの子どもには自分が思った保育が出来るんです。大きく園を変えようと言うのではないんです。その目の前の子どもにすら不本意と言いながらやりたくない仕事をしているとしたらそれは無責任です。目の前半径1mは自分の責任です。

出来ない理由を探さない

「どうせ無理」とか「園長先生がワンマンで」と人のせいにしているうちはきっと転職しても、独立してもうまくいかないでしょう。やりたいことをやって働くというのはそんなに簡単なことではないのです。今いる現場でやりたいことをどれだけ実現できるかがとても重要なのです。
森のようちえんだからやりたいことが出来るようになるわけではなく、森のようちえんでやっていける力をつけて、人の力も借りながら困難に立ち向かっていくことでやりたいことが出来るようになるのではないかと思うのです。

やりたいことはいつでもどこでも始めることは可能ですが、やりたいことをやって働くというのは大きなスキルが必要なのです。

今いる現場、職場でやりたいことが出来ている、やってみるという行動習慣こそがとても重要なスキルなのです。

経験の量を増やし、技術の質を高める

「やってみたい」という内発的動機づけから「やってみる」という行為につなげたとしても、それだけで持続させることは難しい。経験の量を増やすことと同時に、技術の向上が必要です。

やってもやっても上達しないような経験の仕方、練習方法ではなく、やればやるほど上達するような経験にならないといずれ自信がなくなっていきます。

やっても報われない練習程疲れることはありません。

みなさんに今のあなたの目的・目標を達成するために明日からうさぎ跳びをしましょうと言って、いくらやっても上達しない、目的・目標は達成することが出来ません。

正しく努力して経験を積み重ねると言うことが必要なのです。

やってみた結果、出来るようになって、喜びとなることで、また次への動機づけとなります。

子どもと関わるということの練習方法、体験学習の機会の提供をソトアソビスクールで行っていますので、そちらも参考にして見てください。

森のようちえんで食べていく

「森のようちえんなんかじゃ食べていけないでしょ。」

ハイ、食べていけません。

僕は「そんなの無理」とか「あなたには出来ない」と言われると燃えるんですね。

大体、そんなことを言う人は本当に無理で、挫折した人じゃない。

挑戦もせず、やってもみていない人に限って人に自分の「無理」を押し付ける。

みなさん良いものだと分かっていても買わない。

売る人を間違えると売れないんですね。

それから価値を分かっていない人にも売れない。

「子どもを自然の所に連れていくだけでお金取るなんて売れる訳ない。」

某行政の創業スクールで言われたことです。

そういう価値観だということなんですね。

教育や自然体験に対する価値が低いのです。

そういった価値観の人には当然買ってもらえる訳がない。

でも、自然の中で子どもが遊ぶって大事だよな、自分じゃ出来ないし、誰かやってくれる人がいたらお金出してでも買うのに。という人たちには売れるってことですよね。

買わない人に向かって(顧客)、他と同じようにやって(競合)、じぶんのやりたいことが出来る訳もない。(自社)

でもそれを伝えることは難しい。

ブログが始まった2004年には個人で楽天ブログを始め、2009年にはgooブログで滝山ネイチャークラブの情報発信を始めました。

いい時代になったと思いましたね。

自分の思っていることが自由に発信できる。

「そんなの無駄だ」とか「意味がない」とも言われない。

自分の脳内、思考を整理して、自分の保育を明らかにすることに役立ちました。

僕の保育の師匠は、「自分の保育に理由をつけろ。後付けでもいいから根拠を持て。」と言いました。

白梅大学の久保田先生は、「先生方は実践者でありながら、研究者であってください。」と仰いました。

実践しているだけじゃなく、それがどんな意味があるのか、科学的な根拠を示しながら、より良い実践を積み重ねていくのです。

習い事としての森のようちえん

既存の制度や枠組みの中ではまず食べていけないでしょう。

どうしたら食べていけるか、その仕組みを自分で作ればいい。大変なのは承知の上です。

滝山ネイチャークラブでは必然的ではあったのですが、週末の幼児教室からスタートしました。

何度も平日の森のようちえん化を考えたこともありましたが、早々に戦略を切り替えました。

既存の幼稚園・保育園と競合していくのではなく、英語やピアノ、スイミングといった習い事として、またインターナショナルスクールなどの特殊な教育との競合を早くから考えました。

 

相手の求めていること

自分がやりたいことは本当に何なのかを徹底的に問い、売れる方法を考えました。

誰に売るのか、どう売るか考える。

そうしない限り、森のようちえんで食べていくなんて絶対に、無理。

自然環境に乏しく、自然体験の機会が少ない都会の子どもたち。

少人数で丁寧に子どもを見てくれる良質な保育環境。

危険も多い野外での活動を安全に遂行できる技術。

そうした体験と環境と幼児教育を求めている保護者の方たちの期待に応えたい。

今現在、40人前後の子どもたちが在籍し、子どもに良質な自然体験を求める保護者の期待にお応えしています。

 

質の高い良質な保育

質の高い良質な保育を求める人に、自分が出来ることを届ける。

いい保育がしたいという自分自身のやりたい「想い」と質の高い良質な保育を求める保護者と出会えたことが結果としてとても良かったことだと思います。

初めからそう思ってやったわけではないんです。

いい保育がしたいと思ってやっていったら、いい保育を求める人が来てくれたと言うことなんです。

『いいことやってんだけど貧乏だよね』それは本当にいいものなのか。

『いいものは売れる』という信念で、サービスの向上に努めてきた。

☆いいものは売れる → 商品・サービスのクオリティアップ

☆判る人には売れる → 伝える

☆社会に必要なものは売らなければならない(広める)

感覚保育から理念保育へ

これまで現場の保育は園長先生やベテランの先生方の経験と勘による感覚保育が行われてきたと考えます。

「保育はセンスだ」

と言われますが、経験者の素晴らしい感性において実践されてきました。

しかし今、その感覚の継承が危うい。

昔みたいに見て学ぶという学習が難しくなってきたと感じます。

理念は3つ掲げる
「自由」とか「子どもの主体性」だけだと誤解される。
1つの理念だけだと偏るんです。「子どもの主体性を大事にしよう」と言うと、地震の時にも「自分で考えてごらん」となる。「危ないのに、ここは子どもの主体性という場面ではなく、安全が一番だよ」と言うと「だって、子どもの主体性が大事だって言うじゃないですか」となる。

だから、「自由」と「安全」

2つじゃ足りない。

もう一つはあなたなら何を入れますか。

 

森のようちえんを立ち上げるには?

滝山ネイチャークラブの理念

何のために滝山ネイチャークラブを創めたのか。

それは自分が「やりたい!」という思いで、やりがいを持って仕事に取り組み、成長したいと思ったからです。

自分自身が幸せで、より良い保育をしていくことで成長し、子どもたちにとって、保護者にとっていい保育を提供したい。

そんな思いでした。

私たちの使命は、次代を担う子どもの育成と人材育成を通し、個人の幸せと成長を追求し、平和で民主的な社会の創造に貢献することです。

五方良しの経営

子どもの幸せを掲げる園はあるけれど、職員の幸せを掲げる園は少ない。

何のために働くのか。

子どものためではあるけれど、自分が働く理由は幸せになるため。

自分が幸せになる働き方を選ぶ。

子どもも保護者も、スタッフも研修生も、そして社会も幸せにならないといけない。

幸せというものが分配ならば、五方良しは幸せの平均化で本当に幸せにはなれないでしょう。

幸せと言うのは価値であり、一人一人が感じるものです。

一人一人が幸せになっていい。

滝山ネイチャークラブの森のようちえん

自然環境を中心とした環境設定と体験(遊び)を通した学習、そして適切に働きかけていく保育者の専門性が重要だと考えています。

子どもの活動を「最高に楽しい!」にするには?

子どもに遊びが大事だと言います。

でも、本当に大事にしているでしょうか。

滝山ネイチャークラブの森のようちえんは「最高に楽しい!」と言い切ることが出来ます。

それは長年、子どもにとって楽しいということはどういう状態かということを研究してまいりました。

それと合わせて、なぜ子どもに遊びが必要なのかということも考えてきました。

それは、子どもにとって遊びと言う方法がもっとも学習効果の高い方法だからです。

その遊びと言う学習を心理状態と合わせて考えた時に、「最高に楽しい!」状態にまで達することがもっとも効果が高いことも首都大学の浜谷先生の遊びの盛り上がり曲線の研究から見えてきました。

時間で管理しない。遊びの状態を見極める。

遊びは、A の地点で始まり、盛り上がりを見せて( B )、ある一定の地点でピークを迎え、飽きたり、疲れたりして終息していきます。( C )

滝山ネイチャークラブの森のようちえんが「楽しい」には理由があります。

滝山ネイチャークラブの森のようちえんには時間で区切ったカリキュラムがありません。

何時から何時までは何をしてといった学校の授業の様なカリキュラム(教科カリキュラム)ではなく、経験している活動の状態によって活動を展開していく経験カリキュラムを採用しています。

実は幼稚園・保育園は幼児期の発達特性からこの経験カリキュラムを基本としています。

しかしながら、滝山ネイチャークラブの森のようちえんが楽しいと言い切れるのは、遊びが盛り上がっている B の地点で遊びを切り上げず、遊びが盛り上がってピークを迎える頂点まで遊びを保障しているからです。

日本全国の園が「遊び」が大事だと言います。

にもかかわらず時間で区切って、給食の時間だからとか、片づけの時間だからと言った理由で(大人の都合で)遊びを中断させていることが多いのではないでしょうか。

もしも、遊びが盛り上がっている B の時点で、

「ハイ、時間だからおしまい、片づけて」

と言われたら、大人だって、

「えっ、ちょっと待ってよ」

となるのではないでしょうか。

遊び込んで、満足するまで、盛り上がり曲線がピークを迎えるまで待ってあげられたら、子どもは「楽しかったー」となるのではないでしょうか。

何時間もかかるわけではないのです。おそらく15分、もしかしたら2,3分かもしれません。

ほんのちょっと保育者に余裕があって、子どもの遊びを待ってあげられたら、子どもたちは満足して、「楽しかったー」となるのです。

本当に子どもの遊びが大事で、子どもの遊びを保障しようと思っているのなら、子どもが満足するまで遊び込む権利を保障しましょう。

これは子育てにも応用が利きます。

公園に連れて行って子どもが遊んでいる場面、 B の地点で遊びを切り上げないで、遊びが盛り上がって一息つくまで待ってみましょう。かけがえのない子ども時代です。数分遅れたって実はそんなに大きなことではないのです。子どもが満足するまで遊び込む貴重な時間をぜひお子様と一緒に遊び込んでみることをお勧めします。この2,3分がやがては子どもが大きくなるのに必要な大きな時間となることでしょう。

 

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