環境はとても大事です。僕たちはそのフィールドを野外に求めます。どこでもいいかといえばそうではなく、対象にマッチしていること、安全で楽しい活動が期待できること、生活拠点から移動できる現実的な地理的要因を兼ね備えていることなど、吟味しています。ここで大事なことは「言い訳をしない」ということです。「うちの園は都会だから自然がないから」「園庭がないから仕方ないよね」「だって野外とかって危ないじゃん」全部、言い訳です。言い訳をする人は信用できません。「子どもなんか預ける親が悪いのよねぇ」などと言い兼ねません。僕たちは言い訳しないで、全力で子どもを野外で育てます。それは環境がとても大事だと考えるからです。
次に、そこ(野外・自然環境)でどんな体験(プログラム)を経験させるかということが重要になってきます。自然に関する知識を身につけさせたいのか、虫の生態に詳しい虫博士を育てたいのか。それとも野外で活発に体を動かして、野生児を育てたいのか。要は、何をねらいとするかということです。僕たちは「人間を人間に育てる」「人間を教える」ということを考えたときに、「健康な心と体」「考える脳と行動する力」を育てなければならないと考えました。それは即ち、「遊び」ということに行き着きます。遊びを通して豊かな心と健康な体を養い、遊びを通して自ら考え、実際に行動していく力を身につけて欲しいと願います。
このように考えたとき、豊かな心、健康な体、考える脳を育てるには体験だけではなく、それにどう働きかけるか大人の役割が非常に重要だということに気づきます。プログラムが人を育てるのではなく、それを伝える、または寄り添う大人が果たす役割がとても大きいのではないかと思うのです。貧しい心根の人に豊かな心を伝えることは出来るのでしょうか。どんなに体を動かすプログラムを経験させようとしても、それに携わる大人が子どもの発達や心理状態を理解しようともしないで、強制的に経験させたとして果たして効果はどれだけあるのでしょうか。考えるということを育てるには、どのように働きかけ、何を言葉がけなければいけないか、高い専門性を持たずして可能なのでしょうか。
だから、僕たちは、野外で、遊びを通して、豊かな人間性と高い専門性を兼ね備え子どもたちと関わる専門家を養成していきます。誰にでも出来ることではないのです。簡単なことではありません。それはとてもすばらしく、とても意義ある、そしてやりがいのある仕事なのです。僕たちはそんな誇り高き集団でありたいと願います。
滝山ネイチャークラブ
代表 堀岡 正昭
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