母の日、父の日

甲ノ原保育園には母の日、父の日というのがありません。

20年以上前には、母の日にはお母さんにプレゼントを作ろう、父の日にはお父さんに絵を描こうみたいな活動はあったと思うのですが、母子家庭、父子家庭への配慮からそうした活動はしないことになりました。

同じ理由で、案外全国の幼稚園・保育園、小学校などでも何気なく会話にしていることでも配慮して、気を付けていることがあります。

それは、クリスマスや誕生日、休日の次の日の会話です。

「クリスマスプレゼントに何をもらいましたか?」

「誕生日プレゼント何だった?」

「昨日のお休みは、どこにお出かけしましたか?」

様々な宗教観や経済的な事情など当たり前と思っていることが当たり前ではありません。

宗教的な理由としては、誕生会なども気にされる家庭もあります。

宗教的儀礼ではなく、日本の慣例として一般的に通用すると思われる七夕やクリスマスなどは保育活動として行事に取り入れていることを理解していただくようお願いしています。

しかし子どもが、「僕は何も買ってもらえなかった。」「どこにも連れて行ってもらえなかった。」と傷つけることになっていないだろうかと私たち保育者は自分の発言にも配慮が必要だと感じます。

「そんなつもりはなかった。」

「これぐらい当たり前だと思っていた。」

自分の当たり前はその子の家庭の当たり前ではないかもしれません。

こちらが傷つけるつもりがなかったとしても、保育者として配慮していたと言えるだろうかという振り返りは必要だと思います。

もちろん、子ども同士が会話するのは自由です。

そこまで制限するのは、却って子ども同士関係の萎縮や保護者への誤解も生じさせるかもしれません。

しかし、私たち保育者は多くの子どもたちを対象に、一人一人の家庭環境や保護者の考え、宗教観や文化の違い、各家庭の背景にも配慮していく必要があると考え、母の日の制作や父の日のプレゼント、クリスマスプレゼントの話題やお休みの日のお出かけなど、プライベートに関してもむやみにするものではないと考えるのです。

これは、保育者の発言を委縮させ、不自由な保育活動になるとは思いません。

保育とはその人の人生観、人生哲学、宗教観などその人となりが表れるものです。

それを踏まえて、私たちは保育者として保護者の皆様に受け入れていただけるような行為、行動、態度を取っているだろうかと常に反省し、自分らしくより良い保育を目指していきたいと思います。

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