今から20年ほど前、私が学童保育の指導員をしていた頃、新1年生になった子どもたちが学校から帰ってきてすぐに始めた遊びは何だったか、分かりますか。
実は、ブロックや粘土といった遊びでした。
今と同じように、子どもたちが自由に選んで遊びだせる室内環境を用意していたので、子どもたちは思い思いに遊びだして良かったのですが、やんちゃな子でも粘土に向かって黙々とやっていたのを思い出します。
子どもたちは自ら心を落ち着かせていたのではないでしょうか。
それまでの環境と変わり、勉強も始まり、緊張もしていたことでしょう。
その心を落ち着かせるために子どもたちの粘土遊びを大事にしようと思いました。
そんな彼らも狭い教室にみんな集まってくるとなかなかにぎやかになってきます。
踏んだ触ったというトラブルも見られるようになりました。
そこの学童は、野外に連れ出してもいいという方針だったので、私は今と同じように、子どもたちを山や川に連れ出すことにしました。
すると子どもたちの様子に変化が見られるようになりました。
無用ないさかいやトラブルが減って、子どもたちが伸び伸びと過ごすようになってきたのです。
もちろん、喧嘩は0にはなりません。対立や喧嘩は悪いことではなく、学びにつながります。
しかし、彼らを野外に連れ出していく中で、彼らの情緒に変化が見られるようになったと感じられたのです。
何より、私の精神衛生上、「子どもを怒らなくて済む」というのは画期的ともいえることでした。
こうした実践を繰り返す中で、私は一つの持論にたどり着きました。
それは、
「子どもの情緒の安定とフィールドの広さは比例する」
というものです。
もちろん、情緒の安定にはフィールドの広さだけではないのですが、こう考えました。
(子どもの情緒を不安定にさせようと思ったら、狭い空間に閉じ込めて、私が「あれしなさい」「これしなさい」と指示命令し、「あれしちゃだめ」「これしちゃだめ」と禁止制限すれば、子どもは容易に不安定になる)
だとしたら、我々はこの逆をやればいい。
子どもを開放的な空間にいざない、自由に遊ばせる。
もちろん自然の中は危険なことも多いので(当時から犬目山や滝山城址、夏は秋川で毎日のように川遊びに連れて行っていましたから)気を付けないといけないことも多いのですが、それは知識・技術の問題。こちらがスキルを高めればいいこと。
まずは、子どもを自然で遊ばせる、と決めたのです。
では、野外に連れて行けば何でもいいのか、という点についてはまた後日、お話しします。
2017年10月1日父母講座から
滝山ネイチャークラブ
代表 堀岡正昭