私は長い文章より1枚の写真の持つ力を感じます。
これまでも、自然の中で子どもが遊ぶことの価値と子どもたちが持っている力のすばらしさを伝えてきました。
写真に言葉を添えて、ネットで日本中、世界中の人たちに伝えてきました。
ここでもう一つ、エピソードで伝えるということに挑戦していきたいと思います。
ある日のことです。
お弁当にしようと移動し始めたところ、クワガタをめぐって、SくんとUくんでもめています。
Uくんの持っている虫かごにクワガタを入れると、Sくんがすごい剣幕でUくんに怒っています。
「Uくんは、他にも持っているじゃないか!なのに何で自分のものにするんだ!」
この時の、Sくんの「僕もクワガタが欲しかったんだ」という気持ちに寄り添い、
「そうか、Sくんもクワガタ欲しかったんだね。」
と共感的な態度と言葉で伝える必要があります。
しかし、もしも彼の感情の本質が、(僕も欲しかった)ではなく、(あの子だけずるい)だとしたら・・。
その時には、確認することが必要ですね。
「そうか、SくんはUくんがずるいと思っているんだね。」
うん
「そうか、じゃあどうしたらいいと思うかな。」
「Uくんだけずるいよね。」では、ずるいと思っていることに対する同調になるので、これは避けたいところ。
答えは出なくてもいい。
Sくん自身の脳内で、自分自身に聞いてみる、自己内対話の体験が必要なのです。
僕はなんで怒ってんだろう。
そうだ、これこれこういう理由で怒ってんだよ。
じゃあどうしよう、どうしたらいいかな
答えは決してスマートなものになるとは限りません。
私たちはスマートにもめ事や喧嘩を仲裁すればいいのではなく、子どもたち同士の想いを交通整理し、体験を通した学びにつなげたいと思います。
子どもたちの関係性と心の動きをエピソードで捉え、スタッフ同士共有していくことが子どもたちをより理解することにつながると思います。
内面は想像の世界です。
真実は聞いてみないと分からないし、実は子どもたち自身もよく分かっていないかもしれません。
でも私たちは子どもたちをもっと理解したいと願い、自分たちの想像を働かせ、自分の働きかけをスタッフ間で共有していきたいと思います。
保育者の専門性は高められる。
保育を振り返り、写真と言葉、エピソードで伝えることを繰り返し、向上していける。
これからの保育は量の時代ではなく、質の時代です。
どれだけ質の高い保育をしているか。
保育の質とは、環境と体験の中身、保育者の専門性です。
これからもご支援、よろしくお願いします。
森のようちえんの滝山ネイチャークラブ
代表 堀岡正昭