幼児期における活動は時間できっちり区切るというのはあまり向いていません。
「〇時になったからハイ、遊んで。〇時になったからハイ、片付けて。」
というのではなく、
活動の導入を丁寧にして、子どもたちが興味を持って参加出来るようにしたり、「お腹空いたから、そろそろ片付けようか。」などと必然性のあるものにしていくといいです。
立命館小学校の正頭先生も、「これからは境界線が曖昧になる時代」だと仰います。
教室は勉強する所、廊下は移動する所、校庭は遊ぶ所といったこれまでの境界線があいまいになり、廊下の掲示物でも学びが始まり、校庭の草花を見て観察が始まります。
学習環境の境界線があいまいになるということです。
時間についても同じだと思います。
子どもの興味関心はそれぞれです。
活動に対する参加意欲も様々なのに、一律一斉に活動し始めるというのは無理があります。
終わりもそうです。
「もっとやっていたい」
そう言ったら続けさせてあげたい。
「もう終わりだから、片付けて」
と言うのではなく、その子の意欲を尊重し、継続させてあげられるだけのこちらの余裕が欲しいものです。
実は、幼児教育というのはもともと境界線は曖昧だったのです。
おままごとコーナーで遊んでいたら、制作コーナーに行って折り紙を取ってきて、折り紙を折ってお店屋さんが始まりました。
絵本コーナーから絵本を持ってきて、小さい子に絵本の読み聞かせをして保育園ごっこが始まりました。
空間も自由自在です。
時間については、実は幼児と言うのは時間でぱっと切り替えるというのが苦手です。
興味関心の塊ですから、「今これをやっている」「もっとやりたい」という心理を大事にしようと思ったら、活動時間の境界線が曖昧になるのです。
「じゃあそれ終わったら来てね。」
「もっとやってていいよ。」
そのぐらいの幅を持たせてあげたいものです。
私たち大人は時間で区切られた教育を受けてきたので、時間に曖昧だと「時間にルーズな子どもになる」とか「今は何の時間かしっかりけじめをつけないと」と思ってしまいます。
もちろん、時間にいい加減では困ります。
みんなが集まっていることに関心を持ってもらいたいと思います。
他の子の想いや大人の願いも聞いて欲しいと思います。
でもそのこと以上に、その子の興味関心を大事にし、その子の声に耳を傾けていくのが幼児教育ではないでしょうか。
境界線が曖昧になるということで、何でもかんでも勝手放題をさせましょうと言うのとは違います。
子どもの話を聞いて、その子の学びが今どこにあるのかを見極め、今学んでいることを大切にし、そうすると時間や空間の境界線が曖昧になることも多いのではないかと思うのです。
ぜひ幼児教育の現場では、「活動はフェードインフェードアウト」でお願いしたいと思います。
急に時間になったから「ハイ、教科書開いて!」では大人でも「いや、ちょっと待ってよ。朝起きたばっかりじゃん」となるでしょう。
「昨日どこまでやったっけ?」
といった話の導入が大事なのです。
学校現場でもこの導入が子どもたちの学習意欲を高めます。
授業が終わっても、「もっとやっていたい!」と言う子は私たちがもっとも育てたい意欲ある子だとは言えないでしょうか。
もっとやりたい!そんな意欲的な子どもを育てようと思ったら活動の余韻を大事にしてフェードアウトしていきたいものです。
活動はフェードインで始まり、フェードアウトで終わる。
森のようちえんの滝山ネイチャークラブ
代表 堀岡 正昭
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