経営者として
「社長さん、もっとバーンと事業拡大しなくっちゃ。ダメだよ。」
滝山ネイチャークラブは、会社としては小さな会社ですから、こう言われるたびに「ああ、そうだ、経営者としてもっと事業のことを考えて、規模を拡大することを考えなくてはいけないんだ。」などと自己嫌悪に陥ることも多かったのですが、最近はこう考えます。
「俺は、会社経営をしたかったわけじゃない。」
保育者として、子どもたちと過ごし、保護者のパートナーとなっていい保育をしていきたい。
今もそう願う、一人の保育者です。
自分自身の保育能力の向上だけを考えるのなら、何も独立して起業する必要もなかったのかもしれません。
保育者として、保育環境のみならず、労働環境も整え、働き甲斐、やりがいのある職場を作りたかったのかもしれません。
職場の仲間と笑顔で働ける職場を目指し、人間関係に起因する不幸をなくしたい、そう願っていました。
健康で安心できる労働環境と職場環境を作り、良好な人間関係を構築するには、現行の福祉制度では制約が多すぎ、規模が大きすぎると思います。
やりたい保育をやって、みんなから認められる。
子どもも保護者も保育者も、みんなが幸せを感じられる保育をしたい。
それには、独立して、制度を自分で作り、仕組みを作っていく以外になかったのです。
そのためには、保育技術を高め、社会的責任を果たすために法人化することも必要です。
被雇用者ならあまり考えなくてもよかった保険や税制のことも勉強しなくてはいけませんでした。
組織を運営していくこと、雇用していくこと、社会的責任を果たていくことも必要になってきました。
経営者として儲けることや事業を拡大することは目的ではなかったのです。
だから経営者としての自覚なんかあるわけもないのです。
より良い保育を目指して、みんなが幸せを感じる保育環境、職場環境を作ることが目的だったのです。
経営者か保育者か
僕にとっては経営者か保育者かということは重要ではありません。
働く上での役割だと思います。
園長が偉いとか、社長だから偉いということはありません。
ただ単に役割なんです。
当然経営者としての側面も持っているので、その責任と役割も果たさなくてはいけません。
それはやりたいことをやるために必要なことであり、自分自身やりたいことでもあるのです。
小さな会社だから出来ることかもしれませんが、会計も労務も全部自分でやってみたいのです。
「そんなことは人に任せて、経営者にしか出来ないこと、社長がやるべきことに注力出来る環境を作らないとダメ」
そう言われるのも分かるのですが、「やってみたい」という内発的動機づけから出てくる欲求はどうにも出来ません。
「だからオタクの会社は小っちゃいんだよ。」
そう、そもそも大きくしようなんて思っていない。
保育者一人一人がやりたいことをやって社会的に認められるように能力を高めたい。
保育者が幸せを感じられる職場でないと子どもや保護者に幸せを感じてもらえるようにはならない。
その幸せを広げていくことで、規模は後からついてくる。
社会的な成功者と言われているような人から言わせたら戯言のようかもしれませんが、目的が違うから仕方がない。
成功よりも幸せ
他者評価より自己評価
自分自身の幸福感を高めることを考えることが第一で、社会的な成功は二の次なんです。
本気になって保育環境を変えたいと思ったら自然環境に行き着くはず。
本気になって労働環境を変えようと思ったら園長や行政に文句を言うのではなく、仕組みづくりに取り掛かるはず。
本気になって職場環境を変えようと思って、人間関係に起因する不幸感を感じているならその職場は離れた方がいい。
教育はもっと小さくあるべき。
労働者はもっと自分の働く意味を考えるべき。
人間関係に起因する不幸感をなくし、人はもっと楽しく生きていい。
そう考えて、結果独立し、起業し、たまたま経営者としての側面も持ち合わせながら、子どもにとってより良い保育環境と体験を構築し、保護者の期待に応えようとしているだけ。
僕は同じように考える保育者が日本にはたくさんいると思っています。
社会的に発信する森のようちえん保育者を増やす
「子ども一人一人をもっと大事にした保育がしたい。」
「やったらやっただけ評価される働き甲斐のある職場でもっともっと働きたい。」
「人間関係で苦しむことのない職場で安心して働きたい。」
そう願う保育者がほとんどではないかと思います。
保育制度や現行の幼稚園・保育園を否定するものではありません。
すべてには役割があります。
保育園には保育園の果たすべき役割があるのです。
幼稚園には幼稚園の役割があり、滝山ネイチャークラブには出来ないこともたくさんあります。
その中で、良質な自然体験と少人数の幼児教育を提唱していく滝山ネイチャークラブが、保育界、幼児教育界において果たすべき社会的責任は大なるものがあると信じています。
保育界において男性保育者は社会的に認知される存在になってきました。
学童保育指導員の社会的評価はまだまだこれからです。
森のようちえん保育者に至っては職業として評価されているとはまだまだ言えない状況です。
森のようちえんが社会的に認知され、社会的に評価される仕組みを作り、子どもの幸せと保護者の幸せ、保育者の幸せを願って行動していきたいと思います。
ソトアソビスクールでは大人を対象にした野外の体験活動を行っています。
同じ保育者として技術を高め、自分自身が楽しく、人に喜ばれる仕事をしたいと願っています。
もしも志を同じくして、保育技術を向上させたいと考える人がいましたら、いつでも滝山ネイチャークラブにお越しください。
ともにがんばりましょう。
お待ちしています。
合同会社 滝山ネイチャークラブ
代表 堀岡 正昭