関わる・広める・つながる

京都大学大学院の明和政子氏は、ヒトは、他者との「密・接触」を基本とする社会的環境のなかで生存、進化してきた生物であり、乳幼児期の脳の発達には、他者との身体接触という経験が不可欠であると言います。

今コロナ禍でオンラインでの視聴覚学習が注目されていますが、乳幼児には視聴覚経験を与えるだけでは学習効果は見込めないという研究成果を紹介されています。

これは、幼稚園・保育園における子どもたちの関わる体験がとても重要だということです。

コロナ禍で高まり続けるストレスに対し、思い通りにならないなら別の策を探ってみようか、と柔軟に発想を転換させるような思考を強化するためには「前頭前野を活性化」つまりは「他者との交流が必要」だと述べています。

相手の立場をイメージする、自分はどう見られているかをイメージする外側の視点をもつこと(メタ認知)

さまざまな角度から、自分の状況を客観的にとらえ、選択する認知作業(前頭前野のはたらき)

前頭前野をはたらかせる(メタ認知を高める)には、他者とつながり、交流する自分と他人の見方や考え方を変換しあう(相手の立場に立ってみる)経験が必要だということです。

それには、保育者や保護者、保育に関わるすべての人がこれまで以上に積極的・意識的に他者とつながることだと言うのです。

最後に、今の時代の「保育」に求められることは、単に“保護して育てる”“子育て代行サービス”ではなく「ヒトの脳と心の発達を守る環境経験」を提供する“プロフェッショナル”だと。

滝山ネイチャークラブの森のようちえんは、子どもたちが育つ環境としての自然環境と子どもたち自身が学ぶ体験としての遊びを提供しています。

この保育を広めることで、保育者同士のつながりや幅広い視野を持って社会と関わっていく必要性を感じます。

これについては地域の保育者ネットワークを活用し、意見交換を進めていくことが喫緊の課題だと思います。

私は「保育」という職業のさらなる地位向上を目指して、滝山ネイチャークラブの森のようちえんがなぜ自然の中で保育するのか、どのように環境を設定しているのか、どのような体験に構成したらいいのか、またそのための具体的な働きかけについて明らかにし、科学的に裏付ける作業を行っていきたいと思います。

堀岡 正昭

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