きっかけは一本の棒だったんです

「木の棒、くれなかった」

 

初沢山に登っている途中、Yちゃんがついてこないでうずくまってしゃがんでいます。

たいちゃんが心配して見に行ってくれました。

「どうしたの?」

「いつものコースで行きたかったの?」

確かにYちゃんはNくんの後についてスリリングなコースを歩いていましたが、登る前から「いつものコースで行きたい」と言っていました。

「うん」

「じゃあみんなにそのこと言いに行こう」

みんなはどうしてもスリリングなコースで行きたいと言うし、Yちゃんの気持ちを確かめたい思いもあったので、2人でいつものコースで行くことにしました。(ショートカットの急斜面と階段のコースを分かれて行くことなどよくあるので、実はこの日もたいちゃんと「子どもたちが分かれて行くって言ったら、どっちか分かれて行こう」と話していました。)

待ち合わせ場所に先についたのでYちゃんに

「さっきはどうして泣いてたの?」

「木の棒、くれなかった」

「木の棒、欲しかったんだ」

「そのこと、Nくん、知ってると思う?」

「(首を横に振って)ううん」

「じゃあ言葉で言わないとNくん、そのこと分かると思う?」

「(首を横に振って)ううん」

「じゃあどうする?」

「Nくんに言ってみようか」

「うん」

待ち合わせ場所に登ってきたNくんに

「Nくん、Yちゃんが言いたいことがあるんだって」

なかなか言えなかったのですが、

「木の棒、くれない?」

しばらく考えている様子でしたが、

「やっぱり、だめ。これは」

という返事でした。

あきらめたのか、Yちゃんは気が付くと前の方を一人で歩いています。

しばらくするとお気に入りのハクビシンの巣(だとYちゃんは言い張っている木の根っこ)を大声で叫んだり、2人で木の洞を見つけて騒いでいる姿がありました。

実は私は、それ以上木の棒のことについては触れなかったのです。

言葉によって自分の気持ちを伝え、言葉にならない思いを感じる心を育てることが大事だと思います。

果たして自分たちの言ったり、やったりしたことが正しかったかどうかは、分かりません。

しかし私たちは、何を育てようとしているのか目的を明らかにし、その目的の達成に効果的な働きかけだったかどうかの検証は出来ます。

人と関わる力を育てようと思ったときに、対立は避けられません。

その対立を避けようとしたり、大人が余計なことを言ったりしたりして、子どもたちが獲得しなければならないものを阻害してはいないか検証が必要です。

決してスマートな対応ではないかもしれません。

しかし私たちの仕事は、対立を取り除いたり、下手な仲裁をして審判を下すことでもありません。

良好な信頼関係を基に、彼らの対立を側で見守り、言葉を獲得し、思いを感じる心を育てていきたいと思います。

いつも滝山ネイチャークラブの森のようちえんの教育にご理解をいただき、

保護者の皆様には心から感謝いたしております。

いつもありがとうございます。

今後ともより丁寧に子どもたちの様子を見守り、お伝えしていけたらと思います。

滝山ネイチャークラブ

森のようちえん

代表 堀岡正昭


きっかけは一本の棒だったんです」への1件のフィードバック

  1. ピンバック: 対立を恐れずに人と関わる経験を – 父母講座ブログ

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