子どもたちの満足度を高めようと思ったら、時計や計画書は見ないことです。
森のようちえんの子どもたちは、「楽しい!」という満足度がはるかに高い理由は、満足度が高まるまで遊びこんでいるからです。
子どもたちが遊びに集中しているということは当然そうなのですが、遊びの状態をよく見極め、満足度が高まるまで遊びを中断させないからです。
時計や日案の計画ばかり見ていると、「何時までに〇〇させなくちゃ」とか「時間に遅れているな」とか「まだ時間があるな」ということに木を取られてしまいます。
その結果、子どもと遊びの状態をよく観察するということがおろそかになっているような気がします。
子どものことをよく見ていないから危険を予測し、危険を回避するような働きかけが遅くなり、子どもは自分たちのことを見てもらえていないから先生に対する信頼感も深まらない。
そんな関係性において「ハイ、時間だからお集まりね。ハイ、片付けて―」と言われても「もっと遊ぶ―!」となるに決まっています。
もっと子どもと関わろう
子どもと関われば、危険を察知するのがもっと早くなる。
子どもと関われば、子どもも「先生は一緒に遊んでくれた」という信頼感が増す。
子どもと関わるから遊びの状態が盛り上がっているか、もうピークを迎えるのか、状態をつかめるようになる。
森のようちえんの子どもたちの満足度が高いのは、この遊びの状態を見極め、(もう少し、もう少し)と遊びの盛り上がり曲線がピークを迎えるのを見計らって、「わー、おもしろかったね。じゃあ終わりにしようか。」とするから、子どもたちも「ふー、おもしろかった!うん、お弁当にしよっか!」となるからです。
この待っている時間、時間にしてほんの数分から数十秒ということもあるかもしれません。
待つ保育と言っても何を待つのでしょう。
この子どもたちの満足を待つのです。
まるであたかも職人技や芸術家のような営みです。
子どもたちの遊びという大きなうねりのような、まるで一つの生き物のような、そんな大きなエネルギーを感じられることで、子どもも満足できる、大人も力業で子どもたちを従わせるような無理な保育をしないで済むのです。
保育はおもしろい。
高度な保育技術はすばらしい。
それは、子どもたちの「楽しい!」と保育者のやりがいが得られ、その高度な専門性を発信していくことで保護者の皆様にも喜びを伝えていけるのです。
時間で管理しない、遊びの状態に応じた保育が広がることで、保育者の疲弊感を減らし、やりがいと専門性を高めます。