もちろん、ライフジャケットがあれば救える命もあると思います。
しかし現場はライフジャケットがあれば問題ないというようなそんな単純なものではありません。
我々プロは、「ライフジャケットを着けさせたから安心だね。」とは言いません。
・対象に合った活動場所の選定
・安全を守る監視体制
・気象の変化や子どもたちの体調の変化に合わせた安全に活動するための指導
こうしたことをひっくるめて総合的に環境デザインを設計し、安全に活動できるプログラムデザインが必要なのです。
でも、「そんな難しいこと言われても普通のお父さん、お母さんたちには出来ないよね」と感じることでしょう。
私たちは自分たちの専門性を一般に降ろし、普遍的な情報として、いかに分かりやすく伝えていく使命があると思います。
その意味で、
1.ライフジャケットがないと不安がある場所には連れて行かない。
ライフジャケットがあるからと目を離すと子どもはすぐにいなくなってしまいます。
ライフジャケットがないと危険が予想されるその場所は、そもそも幼児には合っていないのです。
2.夫婦で、仲間と、その場にいる大人と共に複数で、子どもを監視する。子どもと一緒に遊びながら見守る。「そっち行ったから頼むね」「分かった、オッケー」など声を掛け合う。
子どもから目を離さない。
子どもを視界の中に入れておく。
子どもと一緒に遊ぶ。
これをしておくことで、「今日は人生で一番楽しかったよ」と子どもが笑顔で話してくれます。
3.気象の変化を読んだり、安全のための専門性は一朝一夕には身に付きませんが、子どもは大人より体力がない、疲れたりお腹が空いたりするとぐずる、ということは容易に想像できます。早めに帰る、早めに活動を切り上げるということなら出来るのではないでしょうか。
「せっかく来たんだから」そう言って活動を長引かせないこと。
子どもは移動、着替えだけでも時間がかかります。
活動時間はゆとりを持って早めに切り上げる、早めに帰るぐらいがちょうど子どもには急かすことなく活動を楽しめるものです。
安全を守る専門家も、「ライフジャケットさえ着けていれば大丈夫」といった風潮に警鐘を鳴らし、ライフジャケットだけでは守れない水辺の安全、子どもの見守りを広げて行きましょう。
森のようちえんの滝山ネイチャークラブ
代表 堀岡正昭