1.子どもの個性に応じて
全員一斉に動かされることに慣れていると、「みんな一緒にね」ということに抵抗がありません。
みんなで一緒にやった方が楽しいこと、歌やスポーツなどはそれでもいいかもしれません。
それでも人は皆、個性があり、好みがあり、やり方も人それぞれです。
その上子どもは、ペースも違うのに、「みんな一緒に」を求めすぎるのは子どもにとっては負担となることがあります。
「みんなと違う」ということにフォーカスしすぎるのではなく、まずはその子自身をよく見てあげて、その子の個性、好み、やり方を尊重して、柔軟に対応してあげたいものです。
無理やり引っ張って、集団の中に入れようとするのではなく、他の子の存在に意識を向けさせ、その子自身が集団の中に入ろうとするまで待ちたいものです。
2.子どもの興味関心に応じて
こちらの思い通りにいかないのが子どもです。
綿密に活動計画を立てても全く興味を示さないこともあります。
それでも技量のある先生は力業で子どもを動かすことが出来ます。
計画は達成できましたが、それでいいでしょうか。
本当の保育力とは、子どもの状態、興味関心に応じて、活動を再構築できる力だと思います。
経験が浅いと、引き出しが少ないから、想定外に弱く、子どもの興味関心を拾うことが出来ません。
例え、拾えたとしても見通しが甘いため、その先に潜む危険に気づくことが遅れるかもしれません。
子どもを危険にさらすよりは、計画通りに実施させた方がまだましですが、高度な保育は、子どもの興味関心に応じて活動を柔軟に切り替え、運用できる力があることです。
3.時間と空間も柔軟に
小学校教育においても、教育環境を柔軟に運用することが効果的であると先進の授業研究でも言われています。
授業は教室で行うもの、廊下は移動するためのもの、という固定概念から、子どもたちの興味関心によっては、廊下や体育館、校庭でも授業が行われ、子どもたちの学習効果を高めるというのです。
実は幼稚園・保育園では昔から、柔軟に運用してきたのです。
というより、幼児期の子どもたちにとって、関心のない事柄を大人の都合で教え込んだりするのは極めて困難で、子どもたちの興味関心を探り、場所や時間設定も柔軟に運用してきたのです。
笛を鳴らしたり、合図で、一斉に片付けさせたり、活動を止めさせるやり方は幼児には向いていないのです。
ですから、終わる時間はフェードアウト、場所も一番最適な場所を選んで、そこで保育する、指導するというやり方が合っているのです。
4.チーム保育でスムーズで安全な活動を
口で言うのは簡単ですが、柔軟な運用をしようと思うと、チーム内の連携、意識の共有、共通理解が欠かせません。
いい加減な教育ではなく、柔軟に運用する質の高い教育なんだという理念の共有。
柔軟に運用する際の声掛けやコミュニケーション。
個別対応や活動の切り替えを理解し、お互いに状況を判断し、サポートしあう職場風土。
それらが相互に化学反応したとき、大きな力となり、職員間にも喜びと満足、やりがいが生まれます。
私たちはそんな質の高い教育を目指していきたいと思います。