遊びを大事にした保育
遊びの初期、A の状態、あなたは子どもに何て声をかけ、どう働きかけますか?
「さあ、行こうよ」「みんな遊んでるよ」「ほらちゃんと集まって」
実はこの遊びの盛り上がり曲線というのは子どもの遊びに限ったことではなく、勉強や仕事など人間のかなりの営みをこのカーブで説明することが出来ます。
取り組み始めがあって、段々と集中と効果が高まり、ある一定の所でピークを迎え、そして疲労と共に、集中力、学習効果共に低下していきます。
曲線の度合いは異なれど、多くがこのカーブで説明がつきます。
重要なのはこのカーブは個人によって大きく異なるということです。
すぐに場の雰囲気に慣れ、活発に活動できる子、エンジンがかかるのが遅い子、集中が長く継続する子、短い子、これが個性であり、その人の持つ行動特性が表れてきます。
さて、教育者としてこの写真の子をどう評価しましょうか。
何もしていない、ぼーっとしている、さぼっている、様々な評価はあろうかと思いますが、私たちはこの時のこの子の脳内で起こっていること、内面の変化に注目します。
果たして彼女は何もしていないのでしょうか。
本当に脳内でも何も行われていないのでしょうか。
子どもに寄り添うというのは内面の変化に寄り添うということです。
彼女が今、感じてるであろう感覚と感情を理解したいと彼女の気持ちを想像するのです。
そうすると彼女の脳内で何も起きていないなどということはあろうはずがないことに気が付きます。
彼女が今、肌で全身で感じていることを我が事のように感じる感性が私たち子どもと関わる大人に必要なことに気が付きます。
その時に「あれしなさい、これしなさい」「なんでしないの!」「こうなのね、ああなのね」などと指示・命令、非難、余計な誤った情報の声がけをすることが意味がないどころか子どもの内面の変化を阻害していることにはならないかと思いをはせることが必要だと感じます。
私たちは、A の状態の時に、子どもが一生懸命脳内で考え、分析し、判断しようとしていることを理解し、そのことを大事にしたいと考えます。
だとしたら、A の状態の時に私たち大人がすべきことは明確です。
私たちは「子どもには自ら考え、判断し、行動することで成長する力を持っている」と信じ、彼らが自ら育つのを待つのです。成長させるのではなく、子どもが自ら成長するのです。
A の時点で必要なのはその子の内面に寄り添い、その子をよく観察することです。
大丈夫、子どもはちゃんと成長します。
大人が外からコントロールしなくても自らの内発的な動機付けに基づき、考え、判断し、自分の行動を決める子どもに育てましょう。
ソトアソビスクール
堀岡 正昭