観察法
観察すると言っても何を観察するのでしょう。
そこを明らかにしないと、「ちゃんと見ていましたよ。」の「ちゃんと」が出来ていないということになります。
「ちゃんと見てね」の「ちゃんと」を説明します。
1.行動を観察する
まずは行動を観察するということです。子どもが何をして遊んでいるか。誰と遊んでいるか。どのように遊んでいるかということです。子どもが何をしているか、行動にフォーカスしましょう。
2.事実を観察する。
行動を観察する際には、主観を入れず、事実のみを観察するということです。「楽しそうに遊んでいた。」とか「もっとやりたそうにしていた。」といった主観を排し、やっていること、言った言葉に注目します。
3.全体を観察する
全体を観察できるだけの距離を取って観察しましょう。それが困難な場合は、保育者自身が動いて、死角をなくし、全体を把握するように努めましょう。
ここまでは、実は専門家でなくても、保育の勉強をしていなくても出来ることです。
防犯カメラやAIの得意とするところです。
しかし、保育はAIにとって代わられるということはありません。
人間でなければ出来ない人の心に寄り添うということと、人と人が関わることの偶然性と可能性こそが保育の醍醐味でもあります。
私たちが考える観察とは、次の2点が重要です。
4.気持ちに寄り添う
見えないものを見ようとし、聞こえないことを聞こうとする。
相手に対する信頼と敬意。
そこから生まれる相手を理解したいと努める心が重要です。
外見上の問題行動の有無だけを観察しても保育においてはほとんど意味がありません。
それは保育における観察ではなく、監視です。
子どもたちの内面を理解しようと努め、子どもたちの気持ちに寄り添う心が必要です。
距離を狭めて観察する。
距離を縮めればいいという単純な物でもない。
そこには子どもとの信頼関係が必要です。
内面を観察するのです。
心がどこにあるか、主体的かどうかを観察するのです。
「そんなの無理」
子どもを理解することをあきらめたらお終い。
保育とは困難に挑戦する営みです。
私たちは決してあきらめず、見えない心を見ようとし、聞こえない子どもたちの本当の声を聞こうとします。
5.チームで観察する
一人で観察するには物理的には無理なことがあります。
また、一人で観察するには主観が邪魔して正しく子どもを理解することが難しいことがあります。
そこで、滝山ネイチャークラブでは子どもの安全を守り、正しい子ども理解のために複数で子どもを観察します。
ポジショニング
複数で観察することで安全を高めるにはポジショニングが重要です。
子どもたちの居場所に合わせた保育者の立ち位置です。
漫然と立っていてはいけません。
数10センチ単位で最適なポジショニングがあります。
立ち位置だけに限らず、子どもと全体に対する向きも重要です。
いくつかのパターンがありますが、安全上の視点からは、子どもを挟んで相対する位置で観察することを意識して欲しいと思います。
常に対象となる子どもを複数で、相対して観察することで死角をなくし、複眼的で多面的な観察が可能になります。
現場では常にこのポジショニングが出来るわけではありませんが、子どもの安全のために複数で子どもを多角的に観察することを意識しましょう。
良好な人間関係
観察して得られた情報を個人で所有しているだけではチームで観察していることにはなりません。
情報は共有してこそ価値があるのです。
「あの子、こうだったよ。」
と、直接会話で伝達することもとても重要です。
それには会議ではなく、気軽に話せる雰囲気がとても重要です。
職員同士の人間関係が子どもの情報共有においてとても重要だということです。
職場の人間関係についてはそれだけで1冊出来そうですが、ここでは外的コントロールを用いないということだけをお伝えしておきます。
※外的コントロール
選択理論心理学によると、人は外部からの刺激に反応するという考えで、1.批判する、2.責める、3.文句を言う、4.ガミガミ言う、5.脅す、6.罰する、7.ほうびで釣る、といった行為を表す。
私たちは、選択理論心理学を基にした、1.支援する、2.励ます、3.傾聴する、4.受け入れる、5.信頼する、6.尊敬する、7.違いを交渉する(歩み寄る)といった人間関係を良好にする7つの習慣を身に付けていきたいと考えます。
情報共有
個々の職員が観察して得られた情報をどのように共有していくか。
どこの職場でも大きな課題であると思います。
滝山ネイチャークラブでは、社員専用サイトで園児情報、活動時の実際の様子を共有し、より深い子ども理解につなげたいと考えます。
これらが十分に機能しているかということはこれからの運用にかかっています。
書き込みの負担軽減とやりがい、アクセスのしやすさとセキュリティの両立、情報提供とフィードバックの質的量的充実。
チームで保育するということは、個人の努力とシステムの構築が必要だと考えます。
滝山ネイチャークラブとして、子どもをちゃんと見ていく体制を作っていきたいと思います。