子どもの人権を守るということ
誰もが人権は大事だと言います。
人権を蔑ろにしていいとは誰も思いません。
しかしながら現実の中では子どもたちを始め、人権が守られているとは言えない事象があります。
具体的に見ていかないと分かっているつもりでも、出来ていないことがあります。
ソトアソビスクールとして次の権利について考えてみましょう。
遊ぶ権利
子どもには遊ぶ権利があります。
友だちと遊ぶ権利があります。
外で自由に遊ぶ権利があります。
私たちはその子どもの権利を守るために、森のようちえんで子どもを野外に連れ出します。
子どもと関わるすべての大人は子どもが遊ぶ権利を守りましょう。
私たちは十分に遊ぶことを保証したいと考えます。
だから、子どもたちの気持ちを尊重し、「もっと遊びたい」という意欲を大事にするのです。
具体的には「時間だから」という理由で遊びを切り上げさせたりしません。
子どもの「もっと遊びたい」という気持ちに寄り添い、子どもの声に耳を傾け、子どもの意見を尊重したいと思います。
私たちは、安全上合理的な理由がない限り、子どもの活動・行動を制限しません。
理由もなく、「これしかしちゃいけない。」とか「ここまでしか行ってはいけない。」と言いません。
安全上の理由があるのなら、きちんと子どもに説明するべきです。
また、技術上、個人の能力不足で子どもの活動に制限をさせなくてはならない場合、自分自身の能力の向上、技術の向上を目指すべきです。
私たちは、子どもが遊ぶ権利を守るために、たっぷり遊ぶこと、十分に遊ぶことを目指します。
現在、子どもたちに外で自由に遊ぶ権利を保障してあげられていない現実があります。
これについては安全上、合理的な理由がありますが、子どもたちに分かりやすく伝えているかというと私自身至らぬ点もあるのではないかと思っております。
保護者の皆様のご協力をお願いしながら子どもたちには、すべての大人がみんなが外で遊ぶ権利を保障したいと思っていることを伝えていきたいと思います。
※注)4月19日現在、COVID-19(新型コロナウイルス)の感染拡大防止に伴い、外出自粛や学校休校、店舗の休業等、日本を始めとした世界中の人々が感染の恐怖と闘い、様々な努力をしています。子どもたちも外で遊べない不自由さを抱えた生活を送っている中での執筆です。近い将来、人類はウイルスの恐怖を克服し、外で自由に遊べることを願っています。
文化的な生活を営む権利
楽しく遊ぶ、楽しく食べる、快適に暮らすということが大事です。
ただ時間をつぶすかの如く遊ばせるだけではなく、より楽しく遊んでいるかどうかということが大事です。
栄養摂取のためだけではないので、滝山ネイチャークラブの森のようちえんでは、みんなで食べます。
楽しく食べるということが大事なので、嫌いな物でも無理やり食べさせるということはありません。
食べることは個人差があります。
食物アレルギーがある子に、「体にいいから食べなさい」とは言わないように、食べるペースや好みにも個人差があります。
ゆっくり食べることも尊重されなければなりません。
嫌な物は嫌だという権利があります。
無理やり食べさせるのは虐待です。
集団保育の都合よりも子どもが食事を楽しむ権利の方が優先されます。
食べるのが遅い子に、いつまでも食べさせた方がいいということではありません。
その子の発達や個性に応じた働きかけるために、子どもたちと一緒に食べ、ゆっくり食べる子も大事にし、時間と環境を保証します。
プライバシー権
これは親であっても子どものプライバシーに配慮しましょう。
親であっても子どものスマホを勝手に見てはいけません。
子どもの部屋に勝手に入ったり、子どもの机の引き出しを開けたり、日記を勝手に覗くのはプライバシー権の侵害です。
親の監督責任や子どもを心配するあまり、子どものプライバシーに踏み込む気持ちもわかります。
でも大丈夫。
子どもは親から愛されているという実感が感じられればそれだけでいいのです。
子どもを信じることです。
裸の写真を撮ったり、ネットに掲載などは決していたしません。d
特に裸の写真は児童虐待です。
専門職である保育者、幼稚園教諭、学校関係者、また子どもの健全育成団体等、プロ、ボランティア問わず、子どもの裸の写真撮影、掲載はしてはいけません。
男性が男の子を、女性が女の子を撮影など、同性であってもだめです。
子どもの権利を守るというはこういうことです。
意見表明権
誰もが自由に意見を言う権利があります。
子どもでも自分の考えを言う権利があります。
子どもが意見を言う前に大人の意見を押し付けていることはありませんか。
「あなたのためを思って言うのよ。」
「子どもなんだから親の言うことを聞きなさい。」
そんなことを言っていませんか。
子どもは幼く、経験も乏しいので間違ったことを言うことがあります。
だからと言って正しいことを押し付けるのではなく、ちゃんと子どもの意見・考えを聞きましょう。
滝山ネイチャークラブが子どもに対して指示したり命令したりすることがほとんどないことの理由です。
子どもが自分で考えていることを尊重し、子どもの意見・考えを聞きたいと思うから、子どもが考えている場面では「こうした方がいいよ」ということも慎重に、子どもの思考を妨げないようにしたいと思います。
成長発達権
子どもには大きくなる権利があります。
より良くなりたい、成長したいという欲求があります。
それには大人にちゃんと話を聞いてもらえる、大事にしてもらっている、愛されているという実感が必要です。
滝山ネイチャークラブの森のようちえんでまず最初に子どもたちとの信頼関係を構築することを考えるのはこのためです。
子どもと遊ぶことが目的ではなくて、子どもの成長発達を保証しようと思ったら、子ども自身が「自分は愛されている」という実感が必要なのです。
子どもを監視しているだけの大人や問題行動を見つけて怒ってばかりいる大人からは愛されているという実感は湧きにくいものです。
私たちは子どもと過ごし、子どもたちが大きくなることを見守りたいと思います。
人権は社会の在りようと合わせて成長していきます。
社会を知り、自分たちと向き合うことが人権の教育につながります。
ぜひこの機会に子どもの権利条約に目を通し、私たち一人一人の人権について考えてみましょう。
滝山ネイチャークラブ
森のようちえん・ソトアソビスクール
代表 堀岡 正昭