「防災」とは、「災いを防ぐ」と書く。
しかし、防災の重要性について人々が実感するのは、大抵「発災(災害発生)後」である。
「ああすればよかった」「こうするべきだった」
そのような後悔をするだけでは、未来で起こりうる災害に対応できない。
その後悔を、未来に生かす形で残して、災害を未然に防ぐように自ら働きかけることが、真の「防災意識」だと言えるのかもしれない。
では、誰しも自ら災害を経験して後悔しないと「防災」はできないということだろうか?
もちろん、一度災害に巻き込まれると、最悪命を落とすことも可能性として考えられるし、そんな悠長なことは言ってられない。
では、どうすれば良いのか。
答えは意外と単純で、どこか遠くで起こっている(たとえ違う国でも)災害でも、「明日は我が身」として捉えることで、災害に巻き込まれた際の「疑似体験(シミュレーション)」をすることの積み重ねこそが、ひいては実用的な防災意識の向上につながるのではないだろうか。
災害が発生したというニュースを見たときに「巻き込まれなくてラッキー」と思うのか、「同じようなこと、あるいはもっと重大な災害が今ここで起こるかもしれない。何か今のうちにできることはないか。周囲に危ないところはないか。周りの人は大丈夫か」と気を引き締めるのか。
個人のそんなほんの少しの意識改革が、未来で命を守ることに繋がるのではないだろうか。
意識改革と言っても、そんなに身構える必要は無い。
「いま通勤中で時間があるし、自治体のウェブサイトでハザード・マップでも見てみるか」
「そういえば朝のニュースで〇〇地方の水害についてやっていたな。うちの周りには河川はないけど、大雨が降って困ることはあるのかな?今現地はどんな状況かな?こっちの天気は大丈夫かな?」
「今週末は防災グッズの備え付けでも確認してみるか」
「家具転倒防止って、どうやってやったらいいのかな?やるとやらないでは被害にどんな違いが出るのだろう?」
「地震が起きたとき、どうすればいいか復習してみようか?(シェイク・アウト訓練)」
まずは、知らないことに対して「まあいっか、今すぐに考えなくても」と思うのではなく、「これを機にちょこっと調べてみるか」と思ってみてはどうだろうか。
何気ない数秒~数十秒だけのウェブ検索でも、やるかやらないかで、いざというときの行動力に「雲泥の差」が出てくるのではないだろうか。
加藤 大地

