体験を止めない

1.現在の学習状況

子どもたちの学習が心配です。
3月からおよそ2ヶ月、まともに授業も受けられずこのままでは学習に大きな差が出てきます。
大学もオンラインに切り替えて授業を開始するところもあるようですが、まだガイダンスといった段階で本格的な学習には至っていない所も多いようです。
私立学校や学習塾では、オンラインで行っている所もあるようですが、多くの公立学校では学習は各家庭に任せている状況ではないでしょうか。
これは家庭の学習環境によって子どもたちの学習進度に大きく差が出ることを意味しています。
学校や政府の指示を待っていては子どもたちの学習、これからの人生に大きく差が出ます。
子どもたちは学校の勉強だけではなく、友だちと遊んだり、外で自由に遊ぶことで人生に必要なことを学習しています。
しかしながら、今は友だちと遊ぶこと、外で自由に遊ぶことに制限が必要です。
(このことについては子どもの発達年齢に合わせて、分かりやすく伝えていくことも必要でしょう。)
体験もままならない。
学校で勉強も出来ない。
だとしたら家庭で勉強しないと子どもは大きくなれないことを意味しています。
4月7日、警戒宣言が出されてすぐに公立図書館(八王子、あきる野市確認。他の自治体の情報は調査中ですが、おそらく都内においてはほとんどが同じ対応でしょう。)が閉館になり、6日まで出来ていた予約本の貸し借りも出来なくなりました。
これは市民の文化的な生活に大きな影響を及ぼします。
我々市民の権利については別のところで訴えて、死守せねばならないと考えます。
子どもの学習に戻りますと、学校も家庭も子どもの学習について手を打たねば子どもたちに大きな影響が出ます。
体験を通して学ぶ滝山ネイチャークラブの活動が出来ないのは大変心苦しいのですが、それでも家庭で出来る体験をお伝えしていけるのではないか、また子どもたちの体験の手を止めないためにもお伝えしていかなければならないと感じます。

2.滝山ネイチャークラブが考える体験学習

では、子どもたちにオンライン授業をするのか。
いいえ、それは他の学習機関や小学校以降の学びを提供している方々の方が適任ですし、我々には効果的なノウハウや経験もありません。
しかしながら、体験を通した子どもの発達に対する深い造詣と経験があります。
そのことを踏まえ、次の5つの体験を各家庭にお願いし、提案するものです。

1.絵本や図鑑に親しもう

自分から読む子においては図書に親しむ環境があれば良いでしょう。小学生でも絵本の読み聞かせは非常に有効です。小学生の読み聞かせボランティアをしていた時に、高学年、5年生、6年生であっても親しみのある大人に絵本を読んでもらうというのはとても意義があると実感しました。幼児期においては毎日の絵本の読み聞かせがその後の人生において大きな影響を与えます。これには大切な点が一点あって、読み聞かせをする大人も絵本を楽しむということがとても重要だということです。絵本の読み聞かせが必要だと言って、やらされ感や義務感で読んでしまってはもったいない。ぜひこの機会に大人も絵本の世界を楽しんでみましょう。そのことが子どもの体験として大きな学習につながります。

2.目を閉じていろいろな音を聴いてみよう

自然体験は外に連れ出さないと出来ない?
いいえ、そんなことはありません。
都会の保育園だって窓を開ければ風が入ってきます。
眼を閉じて耳をすませばいろんな音が聴こえてきます。
今こそ五感を働かせ、自分の感覚を研ぎ澄まそう。
見えないふり、聞こえないふりをするのではなく、見ようとする眼、聞こうとする心が必要なのだと思います。
1分間、目を閉じていくつ音が聴こえるか数えてみましょう。
ちなみにほりちゃんは25個でした。

3.いろいろなものを触ってみる

感染症対策としては勧められるものではありませんが、家庭にあるもの、身近な自然、プランターの花でもいいし、バケツに張った水でもいい。子ども時代には五感を働かせ、様々な感覚を養うことが必要です。赤ちゃんは身の回りのほとんどのものを触って、舐めて、口にしているそうです。危険な物を取り除く必要はありますが、外に出られないこのような状況だからこそ、今一度何でも触ってみましょう。大人はいかに固定概念や既成概念で(こうだろう)という思い込みで決め込んでしまっていることが多いか気づかされることも多いのではないでしょうか。

4.ごはんをしっかり食べる。

食育とか言うつもりはありません。
食べることに実はそんなに理屈はいらないのではないかとも思います。
健康を保つためにもご飯をしっかり食べる。
栄養摂取だけが目的ではありません。
食べることも人格の形成に大きく影響します。
誰と食べるか。
どのような雰囲気で食べるか。
実は食べる物の食材と合わせて重要な課題です。
外で遊べなくて、運動量が少ないから食べる量も減ってきたということがありましたら、これは次回家庭で出来る運動遊びということでお伝えできたらと思います。

5.大好きな人と手をつないだり、抱っこしてもらったりする

これも感染症対策としては勧められるものではありませんが、子どもの成長において、肌から伝わる情報量は我々が考えるよりも膨大で重要であることが赤ちゃんの研究から明らかになってきています。
科学的な根拠については別の機会にお伝えするとして、子どもと手をつなぐ、夫婦で手をつなぐ、子どもを抱っこする、身体を使ってスキンシップ遊びをすることの重要性をまずはお伝えいたします。
これは保護者の皆さまにお願いと合わせて、宿題のご提案です。
1日1回、子どもを抱っこする。
もちろん何回してもいいのです。
どんなに忙しくても1日1回は我が子のことを抱っこしましょう。
今度森のようちえんでお会いした時に、子どもたちに聞いてみたいと思います。

 

子どもたちは体験を通して学びます。
知識の量を増やしても幼児期には実はあまり効果的ではありません。
そのほとんどが忘れてしまうからです。
でも体験したことは忘れません。
出来れば、楽しいとかうれしいといった快の感情とセットで記憶させましょう。
その記憶は強固な記憶となって、子どもたちの人格形成においてすばらしい影響をもたらすことでしょう。
外に連れ出してあげられず、子どもたちにはごめんねという気持ちでいっぱいですが、遠くから子どもたちの成長を願っています。

私たち人間には想像する力があります。
遠く離れていても相手を思いやり、相手に思いをはせることが出来ます。
家庭における体験学習についてまとめてみましたが、一日も早く自然環境を通した体験学習としての森のようちえんが再開できることを切に願っています。

滝山ネイチャークラブ
代表 堀岡 正昭

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